マタニティマークを出す勇気が出ない。妊娠中に感じる「嫌な視線」をやり過ごし、自分を大切にする方法【お悩み相談室】
今回は、妊娠9週を迎え、ひどいつわりに耐えながら通勤されている20代女性からのご相談です。
一度感じた周囲の冷たさやSNSの情報がトラウマとなり、マタニティマークをつけることができずにいるようです。
マタニティマークの本来の役割や、周囲の反応を怖がらずに自分を守るための考え方について、公認心理師がアドバイスします。
つわりが始まった6週目に、素直に「助けてもらえるかも」って思ってマタニティマークをつけてみたんです。でも通勤電車で冷たい目を向けられた気がして、それから外すようになってしまいました。
今は妊娠9週目に入り、つわりも前よりひどくなってきたので、誰かに席をゆずってほしいのが本音です。でも、また嫌な顔をされたり、何か言われたりするのが怖くて、カバンにマークを入れてるけど、ずっとしまったままです…。
SNSで嫌なことを言われた方の投稿を目にしてしまって、余計に不安になってしまいます。
もちろん、優しい方もいるとは思うけど、嫌な態度を取る人もいるのかもと思うと勇気が出ません。
どうしたら周りの目を気にしすぎずに、自分と赤ちゃんを守る気持ちでつけられるようになるんでしょうか。
(20代、女性、ハンドルネーム:るー、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
妊娠9週目、本当におつかれさまです。
体は毎日フル稼働で変化しているのに、外からは何も変わっていないように見える時期ですよね。
つわりでしんどいときに電車に乗るのは、妊娠前の何十倍、何百倍も大変だと思います。
そんななかで勇気を出してマタニティマークをつけてみたのに、冷たい目を向けられた気がした…その瞬間の胸の痛みや怖さ、すごくよく伝わってきましたよ。
そして一度“怖い”“嫌だ”という感覚を覚えると、次に同じことをしようとしたときに、あの感覚がフラッシュバックして足が止まってしまう。
大事な赤ちゃんをおなかに宿しているお母さんなのですから、これは当然の反応だと思います。
決して弱いからではなく、むしろ“危険を避ける能力が高い”証拠。
るーさんは、赤ちゃんを守ろうとする本能がしっかり働いているからこそ敏感になっているのだと思います。
ここまでひとりで耐えて、ほんとうによく頑張っていますね。
妊婦の安全対策。「助けてもらっていい」と自分に許可を
今のるーさんは、“怖さ”と“助けてほしい気持ち”の両方があって、その板挟みにいる状態のように感じました。
そこで無理に勇気を出そうとすると、かえってしんどくなってしまいます。
まずは、「私は助けてもらっていい存在なんだ」という許可をご自身に出してあげてほしいんです。
つわりで具合が悪いときに席をゆずってもらうのは、“特別扱い”ではなく、“安全対策”。
飛行機でいうところのシートベルトと同じで、つけないと危険なのはむしろこっちです。
嫌な態度は「相手の問題」。自分を責めずにハードルを下げる工夫
そして、マークは“見知らぬ誰かに優しさを強制するためのもの”ではなく、“助けが必要な状態を周囲に知らせるサイン”にすぎません。
そのサインをどう受け取るかは相手の問題であって、るーさんの価値とは無関係です。
嫌な態度を取る人がいたとしても、その人は単にコンディションが悪いか、心の余裕がないだけ。
海で溺れそうになっている人を見て「泳げ!」と言うような人です。
まともに受け取る必要はありません。
もし「また嫌な目にあったらどうしよう」という不安が強いなら、
・家を出る直前につける
・目立ちすぎない位置につける
こんな具合に、ハードルを下げてみると良いかもしれません。
数字で見るマタニティマークに関する現状
人は不安を感じているとき、周囲の“否定的な情報”に注意が向きやすくなります。
SNSにはネガティブな体験がシェアされやすい性質もあって、実際の確率以上に“怖い世界”に見えてしまうんですね。
ここで、ちょっと古いのですが、ある調査をご紹介します(※)。
マタニティマークに関する妊産婦を取り巻く環境の実態を知るべく、妊産婦と妊産婦以外に対して意識調査を行ったものです。
・マタニティマークに気付いた際に「サポートしてあげたい」は67.6%
・マタニティマークをつけていて「周囲のやさしさやサポートを感じた」妊産婦は70.9%
・マタニティマークを身につけていることで不快な思いや身の危険を感じたことがある妊産婦は9.7%
この数字、どう感じられますか?
実際にはマタニティマークを見て配慮したいという人の方が、圧倒的に多いですよね。
また、配慮と言っても、ほとんどの人は何も言わずにそっと席を立つだけなので、ネットに書かれません。
つまり、るーさんが怖いと思っている“嫌な人の存在”は、少数派の声だけが拡大されて見えている状態だと言えるかもしれません。
マタニティマークは“自分と赤ちゃんを守る手段のひとつ”
さらに、マタニティマークをつけることの目的は「席をゆずってもらうため」だけではありません。
・急に体調が悪くなったとき、周囲が気づきやすい
・倒れたときに妊娠を考慮して対応してもらえる
・無理な姿勢や押される危険を避けられる
など、赤ちゃんの命を守るための安全装置でもあるんです。
義務ではないからこそ、“自分と赤ちゃんを守る手段のひとつ”として使っていいのですよ。
るーさんと赤ちゃんにとって、いちばん安全な方法を選べばいいのです。
もしつけるのが怖ければ、まずは“見えにくい場所につける”ところから始めても全然OK。
もちろん、無理してつけなくてもOK。
最後に
マークをつける日は、体調の悪い日だけにしてもいいんです。
「今日の私は守られるべき人」
そう自分に言ってください。
その日のたった一つの勇気だけで十分です。
どうか、るーさんと赤ちゃんが少しでも安心して過ごせますように。
あなたは、守られていい人です。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
株式会社エコンテ
▶「マタニティマークは危険」は本当?マタニティマークに関する意識調査(2016):https://econte.co.jp/works/maternity/
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