精子が少ないと言われた40代男性、治療と生活を無理なく進めるために、費用と保険適用範囲を知っておきたい【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、妊活前の検査で精子の数が少ないと分かり、治療と家の購入のどちらを優先すべきか悩む40代男性からのご相談です。夫婦でお金の話をすると空気が重くなり、治療費や保険の適用範囲も分からず不安が募っているようです。

資金計画の全体像をつかむためのポイントと、不妊治療の費用や助成金制度を看護師がお伝えします。

最近結婚したばかりなんですが、妊活を始める前の検査で精子の数がかなり少ないと診断されました。自分が40代前半、妻が30代後半ということもあって、なるべく早く授かりたい気持ちが強く、治療を前向きに考えています。
ただ今、家の購入も同時に検討していて、ローンや頭金のことも含めて家計の見通しを立てないと動きづらい状況です。

現在は妻も働いていますが、もし出産・子育てとなれば仕事も制限されますし、今はお金の話になると二人の間がなんとなくギスギスしてしまいます。
治療と生活の両方を無理なく進めるため、検査や治療にかかる費用保険の適用範囲などを今から知っておきたいです。 

(40代、男性、ハンドルネーム:海の山中、職種:医療・介護・福祉)


最初に

ご自身の年齢や奥様の年齢を考え、一日も早く授かりたい、前向きに治療を進めたいというお気持ちは、現実をしっかりと受け止め、これからのお二人の将来を真剣に考えていらっしゃるからだと思います。
だからこそ、事前の検査で精子の数が少ないと告げられたときはショックや焦りを感じましたよね。

また、マイホームの購入も検討されているのですね。ローンや頭金の確保、そして将来奥様が産休に入られた際の減収の可能性を考えると、家計への不安は当然です。
お互いを大切に想っているからこそ、お金の話になると二人の間がギスギスしてしまうのも、お辛い状況だと思います。

ロードマップをつくるための3つの視点

現在のお悩みに対して、まずは不妊治療にかかる費用とマイホームの資金計画の全体像が見え、お二人が安心して同じ未来へ一歩を踏み出せる状態になれると良いかもしれませんね。
お金の見通しが立てば、きっと今のギスギスした空気からも抜け出せるはずです。

まずは現在の状況から、以下の点について踏み込んで調べてみましょう。

  • 「精子数が少ない」と診断された際、妊娠を目指すにあたって具体的にどのような治療ステップが必要かなどの説明はあったか
    人工授精、または体外受精や顕微授精を用いた方法でないと難しい状況なのかによって、費用も変わってきます。どれくらいの費用がかかるのかという医療面の見通しができると良いと思います。

  • 2022年から始まった不妊治療の保険適用のルールや、自己負担をさらに抑えるためのお住まいの自治体独自の助成制度

  • 妊活・子育て期の収入減少を見据えた上で、治療と生活を無理なく両立させるための家計の立て方

これからの治療にかかるお金と、生活を守るためのお金。
この2つのバランスを取るためのロードマップが分かれば、奥様とも前向きな作戦会議ができるようになります。
次の章で、具体的な情報をお伝えさせていただきます。

具体的な治療費用・助成金制度について

私からは海の山中さんが今必要とされている不妊治療における治療費、また助成金制度などの具体的な情報を提供いたします。

男性不妊の治療と保険適用

①男性不妊の治療

精子の数が少ない状態は、医学的には乏精子症と呼ばれます。
不妊症の原因の約半数は男性側にもあることが分かっており、医療機関を受診して前向きに対策をとることは非常に賢明な判断です。
ただし、精子の状態は日によってばらつきが多少ありますし、前述した通り精子が少ないといってもそのレベルによって治療法が異なってきます
まずはご夫婦の年齢、妊活期間、そして精子の状況からどの治療法が適しているのかを医療機関で相談してみましょう。。


②保険定期用

2022年4月より、タイミング療法だけでなく、人工授精や体外受精といった生殖補助医療も公的医療保険が適用されるようになりました
ただし体外受精を検討されている場合は、以下のように妻の年齢によって保険適応になる回数の制限があります。

医療費助成と職場の制度

国の保険適用とは別に、各都道府県や市区町村が独自の助成金制度を設けているケースが非常に多く、これらを活用することで負担を大きく軽減できます。
自治体によって制度の有無や内容は異なりますが、主に以下のような支援が行われています(※2)。

  • 不妊検査等への助成:
    治療を本格的に始めた場合、夫婦で受ける不妊検査や一般不妊治療に対して、数万円規模の初期費用を助成する地域があります。

  • 保険診療への上乗せ助成:
    体外受精や顕微授精などの保険診療における自己負担分について、自治体が独自に一回あたり十数万円の助成金を支給し、実質的な負担をほぼゼロに近づける手厚い支援を行う地域もあります。

  • 先進医療への助成:
    保険診療と併用して全額自己負担で行う先進医療の費用に対して、市区町村がその一部、または上限を設けて独自に助成金を上乗せしてくれる場合があります。

海の山中さんのお住まいの自治体でも、こうした手厚い支援が用意されている可能性がありますので、まずは「〇〇県 不妊治療 助成金」「〇〇市 先進医療 助成」といったキーワードで、自治体の公式ホームページを調べてみることを強くお勧めします。

最後に

海の山中さん、ご家族を守るために一生懸命悩まれている姿、本当に尊敬いたします。
まずは妊娠にむけての治療法や使用できる助成制度などを確認し、予算を見据えた上で、ゆとりを持たせたライフプランを立ててみてください。
お二人の温かい未来を心から応援しております。



<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
生殖医療の必修知識2023
▶一般社団法人日本生殖医学会,不妊症の原因頻度,P53-55

こども家庭庁
▶不妊治療の保険適用:https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/funin/ ※1

東京都福祉局
▶妊検査等助成事業の概要 :https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/funinkensa/gaiyou ※2


この記事の回答者

示村英実

生殖看護認定看護師/不妊カウンセラー

所属:株式会社ファミワン

妊娠を望む方の少しでも力になりたいという想いから、一般企業を退職し、看護師になりました。現在は不妊治療クリニックにて勤務しながら、株式会社ファミワンにて、妊活中の方に対してのアドバイザーを担当。一人ひとりに耳を傾け、寄り添うサポートを心掛けています。


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