20代なのに高度治療へ?多嚢胞で卵胞育たず…6回目のタイミング法の後に“次の段階”を勧められ迷っています【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、6回目のタイミング法の後、20代でステップアップを勧められ戸惑う多嚢胞性卵巣症候群の女性からのご相談です。
自然な方法から離れる不安や費用・仕事との両立の悩みがあるようです。

次の段階をどう決めるか、助産師がお答えします。

現在妊活中で、HMG注射を打つ機会が多いのですが、その時の痛みに悩んでいます。
針を刺す瞬間というよりは、あとからくる筋肉痛のような重い痛みがつらく、寝返りをうっただけでも目が覚めてしまうことがあります。
看護師さんに相談したところ「じゃあおしりに変えてみましょう」と提案してもらい試したのですが、私にはむしろそちらの方が合わず…。数日間は、腰を下ろすときに“うっ”とくる痛みが続きました。

病院では“おしりのほうが楽な人が多い”と聞いたのですが、やっぱり相性みたいなものがあるのでしょうか。排卵障害で注射が避けられないことは理解しているので、少しでも楽になる方法があれば知りたいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:デスクワーク、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

あんまんさん、ご相談ありがとうございます。
現在は、タイミング療法に6回取り組まれる中で、思うような結果につながらず、悩まれている状況なのですね。
ここまで行ってきた通院や検査、治療の一つひとつは、決して簡単なことではなかったと思います。
先の見えない中で続けてこられたこと自体、十分に頑張っていらっしゃいますね。

今回は、今後の治療をどのように進めていくか、ステップアップについてのご相談ですね。
多嚢胞性卵巣症候群があり、医師から体外受精を提案されたとのこと。

一方で、ご自身はまだ20代であること、

体外受精に対して「高齢の方が最短ルートとして行う治療」というイメージがあり、今のご自身がこの段階に進むことに、気持ちの整理がつかず戸惑いを感じていらっしゃるのですね。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と体外受精の関係

まず、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と体外受精について、一般的な知識を簡単にお伝えしていきますね。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

排卵が起こりにくい、あるいは不規則になりやすい体質を特徴とする疾患で、不妊の原因としても比較的頻度が高いことが知られています。

妊娠を希望される場合、まずは内服薬や注射薬による排卵誘発を行い、タイミング療法や人工授精で妊娠を目指すことが一般的です。
PCOSの方でも、排卵誘発によって妊娠に至るケースは多くあります


一方で、卵胞が同時に複数育ってしまい多胎妊娠のリスクが高まったり、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といった合併症を起こす可能性が高い点には注意が必要です。(※1)
そのため、一般不妊治療を慎重に進める必要があります

こうした背景から、排卵誘発のリスク管理が難しい場合には、体外受精が選択肢として提示されることがあります。(※1)
体外受精では、卵巣の反応を医学的に細かくコントロールしながら卵子を確保し、受精・胚培養を行います。
妊娠のタイミングを調整することで、身体への負担や多胎妊娠のリスクを抑えることが可能になります。(※2)

体外受精は「年齢が高い方のための治療」というイメージを持たれがちですが、年齢だけでなく、排卵障害の程度や治療に伴うリスクを考慮して提案される治療でもあります。

多嚢胞性卵巣症候群の方や、卵管に問題がある場合など、20代であっても体外受精にチャレンジされることは決して珍しいことではありません。(※3)

“何を大切にしたいか”に目を向けること

20代でも体外受精にチャレンジする方がいると分かっていても、気持ちが追いつかないと感じることは、決して珍しいことではありません。
不妊治療はお二人の状況やお気持ちを重視して進めていくものです。
そのように気持ちがなかなか進まない状況も、決して悪いことではありません。


一般的に女性は加齢により妊娠しにくくなり、流産が増えるという特徴があります(※5)ので、医療機関はどうしても効率を重視したステップアップの提案が多くなってしまいます

そのように提案されると

ステップアップしなくてはいけないのかな

と感じてしまうこともあるかと思うのですが、お気持ちが進まない時はもちろん、お二人の状況や準備が整っていない時は遠慮なく伝えていただいて大丈夫です。


年齢を問わず、不妊治療のステップアップに悩まれる方は多く、決断の仕方も本当に人それぞれです。

できることにどんどんチャレンジしてとにかく早く子どもを望まれる方
-今は仕事も大切にしたいからしばらくはタイミング療法にすると選択される方
-不妊治療を続ける中で疲れを感じ、少しお休みをされる方
-体外受精はしない方向で考えていたものの、お気持ちが変わってチャレンジされる方




あんまんさんご自身とパートナーの方が「ここまでがんばったな」と感じ、「次のステップを考えてもいいかもしれない」と自然に思えるまでタイミング療法を続けられるのも良い選択肢だと思います。


体外受精をする/しないに注目するのではなく、お二人が何を大切にしたいのかに目を向けることで、納得してご決断ができるのではないかなと思いました。

不妊治療や妊娠、出産、子育てには様々なお考えがあるものです。
どのような方であってもお気持ちの揺れを経験しながら、前に進まれるのだと思います。
今は決めきれないな、もう少しゆっくり考えたいな、と感じる気持ちも大切になさってくださいね。

最後に 

お一人で考え続けると苦しくなってしまうこともありますし、話をしながら整理していくことで、見え方がかわることもあります。
決めきれない、迷ってしまうお気持ちも一人で抱え込まず、おかかりの病院のスタッフに相談するのも前に進む良い選択肢なのではないかなと思いました。

こうして悩まれたお時間も、決して無駄になることはありません。
焦らず、おふたりのペースで考えているよう、応援しております




<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
日本産婦人科学会
▶本邦における多囊胞性卵巣症候群の治療指針(full version):https://www.jsog.or.jp/news/pdf/PCOSshishin_20250717.pdf ※1

日本生殖医学会
▶生殖Q&A  「体外受精の治療法」:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa12.html ※2

日本生殖医学会
▶生殖Q&A 「生殖補助医療の種類」:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa11.html ※3

一般社団法人 日本生殖医学会
▶加齢に伴う妊娠率:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa22.html ※4


この記事の回答者

小澤彩加

看護師/不妊カウンセラー

所属:株式会社ファミワン

神奈川県の不妊治療専門クリニックに勤務。妊活や不妊治療、女性特有の身体のお悩みなど、分かりやすく伝えることを大切にしています。現在不妊治療に励んでいる人だけでなく、子供を持たない選択をした人も迷っている人も、これから向き合っていく人も応援していきたいと思っています。ぜひお気軽にご相談くださいね。


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