ノロウイルスが子どもから夫へ…なぜ私だけうつらない?夫ばかり感染する理由と家庭内感染を防ぐ対策を教えて【看護師監修:お悩み相談室】
今回は、保育園で流行したノロウイルスにお子様とご主人が感染し、「なぜ汚物処理をする自分ではなく夫ばかり感染するのか」と疑問を感じている30代女性からのご相談です。
ノロウイルスについて解説し、性別よりも家庭内での接触状況などが影響した可能性や、家庭内の感染対策について、看護師がお答えします。
保育園でノロウイルスが流行りだし、わが子ももらってきてしまいました。
ここ数日、子どもの突然の嘔吐や下痢の処理で大忙しです。
自分への感染を防ぐため、ビニール手袋やマスクを着用し、薄めた塩素系漂白剤でドアノブやおもちゃ、床を何度も必死に拭きまくりました。
夫にも「お願いだから手洗いを徹底して!マスクもしてね!」と口酸っぱく注意していたのですが…結局、夫にもノロウイルスが感染。上も下も大変なことになり、寝込んでしまいました。
我が家では、子どもが保育園から何かしらの感染症をもらってくるたびに、必ず「子ども→夫」へ移る・私は無事のパターンが定番になっています。
仕方のないこととは思いつつも、いつも、病気の子どもと寝込んだ夫をダブル看病する羽目になり、自分だけが奮闘するワンオペ状態にイライラしちゃいます。
私に移らないこと自体はありがたいのですが、いつも一番近くで下痢や嘔吐の処理・着替えの対応をしているのは私です。
毎回嘔吐物の処理をしている私に移らず、夫ばかりに感染してしまうのはなぜなのでしょうか? 普段から汚物処理をしていることで、私に「免疫」のようなものができているのでしょうか? それとも、男女の体質、普段の予防行動の違いなどが関係しているのでしょうか?
子どもはまだモノを舐めちゃう2歳なので仕方ないと思いつつも、次こそ夫の感染を食い止めたいです!
愚痴を含みつつのくだらない疑問で恐縮ですが、教えていただけると幸いです。
(30代、女性、ハンドルネーム:ちひろ、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
ちひろさん、ご相談ありがとうございます。
お子さんの突然の嘔吐や下痢の対応に追われる中、消毒作業を行い感染対策をされていたのですね。
それだけ対策をしていたにもかかわらず、ご主人に感染し、
「どうして自分ではなく夫ばかり?」
「自分のやり方が悪かったのかな」
と感じてしまうのも無理はないと思います。
さらに、お子さんの体調不良のたびに「子ども→夫」という流れになり、ご主人が寝込むと、ちひろさんの負担は大きいものだと思います。
「自分まで倒れたら家庭が回らない」という不安や、もどかしさも感じるのではないでしょうか。
まずお伝えしたいのは、今回ご主人が感染したからといって、ちひろさんの感染対策が不十分だったとは限らないということです。
ノロウイルスは感染力が強く、家庭内で感染を完全に防ぐことは難しい感染症です。
ここ数日の対応、本当にお疲れさまでした。
ノロウイルスの感染について
ノロウイルスは、感染した人の吐物や便に含まれるウイルスが、手や物、食品などを介して口に入ることで感染します。
乳幼児では、手や口の周り、おもちゃなどにウイルスが付着することもあります。(※)
そのため、「吐物を直接処理した人=必ず感染する」というわけではありません。
感染するかどうかには、汚染された場所に触れたか、ウイルスにどの程度さらされたかなど、さまざまな要因が関係します。(※)
また、普段から汚物処理をしているからといって、感染を完全に防ぐ免疫ができるわけではありません。
ノロウイルスには複数の型があり、一度感染したことで今後の感染を完全に防げるわけではないためです。
男女で感染しやすさに大きな違いがあるわけでもなく、今回のご主人の感染については、性別よりも家庭内での接触状況などが影響した可能性が考えられます。
一方で、ちひろさんが行っていた手袋・マスクの使用や、吐物を処理した場所を塩素系漂白剤で消毒することは、適切な感染対策につながります。
家庭内の感染対策
家庭内感染対策では、まず石けんと流水による手洗いを意識しましょう。
特に、嘔吐物や便の処理後、おむつ交換後、トイレ後、食事前などは丁寧に洗います。
ノロウイルス対策としては、アルコール消毒だけでは十分な効果が期待できません。
手が洗える環境では手洗いを優先してください。
また、吐物や便が付着した場所、トイレ、ドアノブなどを重点的に清掃・消毒することも大切です。
塩素系漂白剤は、吐物や便には0.1%、その他の場所には0.02%が目安です。
家庭用漂白剤が5%の場合、吐物や便が付着した場所には、水500mLに漂白剤10mL(ペットボトルのキャップ約2杯)が目安です。
製品によって濃度が異なるため、表示を確認して使用しましょう。
吐物や便は乾燥するとウイルスが空気中に漂う可能性があるため、早めに処理し、換気することも大切です。
そして、家庭内の感染予防として、
・可能であればトイレやタオルを分ける
・症状がある間は食事の準備を控える
・食事の時間や場所をずらす
など家庭内でできる範囲の対策を取り入れましょう。
最後に
お子さんのお世話をしながら、ご自身の感染まで心配し、家の中を何度も消毒してこられたちひろさん。本当に大変だったと思います。
すでにできる対策をしっかり行ってこられていることと思います。
できる範囲で対策を続けながら、まずはご家族皆さんが少しでも穏やかに過ごせることを願っています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶感染性胃腸炎(特にノロウイルス):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/norovirus.html
公益財団法人 日本小児科学会
▶ノロウイルス感染症:https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-16.html
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