妊娠成功率が下がる35歳目前、不妊治療に専念したいけど退職という選択が不安【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は仕事と不妊治療の両立に限界を感じ、治療に専念するために退職を考えているというご相談です。治療が成功した場合やそうでなかった場合の未来のどちらにも不安を感じていらっしゃるようです。

仕事と治療のバランスをどう考えるべきか、退職の選択肢について、不妊ピア・カウンセラー資格をもつキャリアコンサルタントがお答えいたします。

現在34歳で不妊治療を開始して1年が経ちました。職場の人事部には勇気を出して治療中であることを伝え、突然休まなければいけない理由も説明しました。会社としてはサポートすると言ってくれましたが、上司の態度や職場環境には辛いものがあり、具体的な支援があるわけでもありません。このまま仕事と治療を両立することに限界を感じており、治療に専念するため退職を考えるようになりました。大学卒業から今の会社で働き続けており、転職経験も資格や特別なスキルもありません。治療が成功したとしても、再就職が40歳手前となると、正社員で働き出せるのかと心配です。また、治療がうまくいかず妊娠しなかった場合に仕事までないとなると自分は立ち直れるのか…という不安もあります。不妊治療を優先するために退職するのは正しい選択なのでしょうか。それとも、何か別の方法で両立できる道を探すべきでしょうか?

(30代、女性、ハンドルネーム:ななこ、職種:事務・オフィスワーク)


会社側は支援したくてもどう支援していいか悩んでいるかも

不妊治療と仕事の両立についてのお悩みを軸に、様々な不安が絡み合っていらっしゃるように感じました。まずは、この1年、お仕事をしながら、治療との両立を頑張ってこられたことをご自身で認め、いたわっていただきたいなと思いました。がんばっていらっしゃいますね。

職場の人事部に治療中であることを伝えたものの、実際には具体的に支援があるわけではないとのこと、上司の方の態度も変わらなかったのですね。

人事から、上司へは伝えてもらったのでしょうか、ななこさんご自身でお伝えになったのでしょうか。もしかしたら人事部としても「どう支援したらいいのかわからない」状態なのかもしれないと感じました。

ななこさんとしては、どのような支援があったら、両立しやすくなりそうでしょうか。これをきっかけに具体的に考えてみてください。制度はすぐには変えられないかもしれませんが、今ある制度で転用できるものなどもあるかもしれません。

自分が「こうなりたい」という思いを広げてみる

厚生労働省「令和5年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査でも、不妊治療をしたことがある(または予定している)労働者の中で、「仕事と両立している(していた)」とした人の割合は55.3%となっています。

一方、「仕事との両立ができなかった(できない)」とした人の割合は、26.1%を占め、4人に1人以上となっています。

この26.1%の中には、両立できず仕事を辞めた方や、両立できず不妊治療をやめた方、また、雇用形態を変えた方もいらっしゃるようです。ななこさんもこのままの状態では、仕事を辞めざるを得ないとのお考えも浮かんでいらっしゃるのですね。

これまでのキャリアや「正規雇用」という安定を手離すことは怖くもあるかと思いますし、その後のキャリアの分断も懸念されているのですね。

ななこさんは、先のことまでお考えになっていて、キャリアデザイン上、素晴らしいなと感じました。いったん、不妊治療とは切り離して、10年後、5年後、3年後…など、ななこさんご自身の「こうなりたい!」という思いをどんどん広げて考えてみていただきたいと思います。そのうえで、「今やめるのは今後のキャリアにどう影響しそうなのか」を考えてみてください。

ここまではキャリアコンサルタント的なご回答だったのですが、最後にピアとして少し、体験談をお伝えしたいです。(いち体験談として読んでくださいね。)

一つの仕事を続けていることも十分なキャリア。仕事をやめるという選択肢は最後に

私は妊活を始めたときはパート社員の兼業主婦でした。30歳になったときに、夫の転勤があり、それをきっかけに転職をして、フルタイムの社員になりました。ちょうどステップアップをして体外受精にトライしようと思っていたところでした。

そんな、大変なタイミングでの転職をなぜ選んだのか、ですが、転勤で忙しくなる夫の帰りと、なかなか来てくれない赤ちゃんだけを待つ生活は、自分のメンタル的に不安だったのです。ななこさんもうまくいかなかったときに…とお考えになるとの記載がありましたので、同じような気持ちなのかなと思った次第です。

転職後は仕事と治療の両立をしていきましたが、毎月両立をがんばれていたわけではありません。どうしても仕事が忙しくて治療を1か月お休みしたこともありますし、治療に集中するために、属人的な仕事はマニュアル化したり、生産性高く仕事できるようにタスクを前倒しで進めたりなどしていました。

その時々で、仕事と治療の濃淡があっても仕方ないと割り切ったりもしました。

ななこさん、スキルや経験がないとおっしゃいますが、これまで一つのお仕事を根気強く継続なさっていること、十分なキャリアです。きっと深堀して振り返ってみると、得ているスキルもあるはずです。一度棚卸しの機会を作ってみてください。

「仕事を辞める」という選択肢は最後の最後いつでもやめていいんだ、と思いながら、もう少し、両立していく方面で、策を考えていけたらなと思いました。まずは冒頭お伝えした、今転用できそうな制度はないか調べてみることからやってみてくださいね

回答者:不妊ピア・カウンセラー、キャリアコンサルタント

ピア、とは「仲間」という意味です。私自身不妊を経験し、そのつらかった思いをどうにか活かしたくカウンセラーの資格を取得しました。不妊治療と仕事の両立のご相談を専門とするキャリアコンサルタントとしても、不妊ピア・カウンセラー、キャリアコンサルタントのお悩みを伺っています。


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