友人たちの子どもの話がつらい、不妊治療で感じる焦りや孤独感との向き合い方は?【お悩み相談室】

今回は30代の方から、周りの妊娠・出産ラッシュで自分が取り残されているように感じるというお悩みをいただきました。
辛い気持ちとどう向き合っていくか、また妊活中の友達との付き合い方を、感情のコントロールや妊活・不妊の相談経験が豊富な生殖心理カウンセラーがお答えします。
周りの友人の中で最初に結婚をしました。すぐに妊活を始めましたが中々授かることができず、夫とはゆっくり焦らず授かれればいいねと話していました。1年経過しても授からず、今は不妊クリニックにお世話になっています。徐々に友人たちも結婚し、私を追い越して妊娠出産し、気が付くと子どもがいない家庭は私だけになってしまいました。友人たちは「大丈夫、すぐできるよ。」と励ましの声をかけてくれますが、今はそれを聞くこともつらいです。みんなで集まっても子どもの話が多く、私がいることで気をつかわせてしまうのも申し訳ないと思い、お誘いにもいかないことが増えてしまいました。孤独感と焦りで自分を責めてしまいます。子どもができない焦りと友人たちとの関わり方、孤独感といった悩みをどうにかしたいです。
(30代 女性 ハンドルネーム:トラベル女子 職種:IT・エンジニア)
焦りや孤独感はとても自然な感情
ご結婚してすぐに妊活をはじめ、今は不妊治療クリニックに通いながらがんばっておられるのですね。そんなトラベル女子さんが今、抱えている焦りや孤独感はとても自然な感情だと思います。
長く望んでいることが叶わない不安や、周りの環境の変化に対する戸惑い、そして誰かと比較してしまうことで自分を責めてしまう気持ち——どれも、不妊治療を経験する多くの方が抱えるものです。
周囲の人からの何気ない励ましがかえってつらく感じたり、気をつかわせてしまうことへの申し訳なさを感じたりすることは、決して珍しくありません。むしろ、相談者さんがそれだけ人間関係を大切にし、優しい心を持っている証ともいえます。
焦りと孤独感の向き合い方4つのポイント
あなたの抱えている焦りや孤独感との向き合い方について、いくつかの視点から考えていきたいと思います。
1.「焦り」を手放すための考え方
不妊治療をしていると、「時間」との闘いのように感じることがあります。「周りは次々に妊娠しているのに、どうして自分は……」と焦ってしまいますよね。
妊娠はコントロールできるものではなく、個人差もあります。焦りは精神的な負担となり、かえってストレスが体に影響を与えてしまうこともあります。自分のペースを大切にし、「自分の心と体を守ることも大事な妊活の一環」と考えてみるのも一つの方法です。
また、毎日が「妊活中心」になってしまうと、ストレスが蓄積しやすくなります。妊活以外のことに目を向ける時間を意識的に作ることで、気持ちが少し楽になるかもしれません。
2. お友達との関わり方を変えてみる
友人との集まりがつらくなってしまった今、無理に参加しようとする必要はありません。お友達からの誘いを断るようにしたのは、とても勇気がいることだったはずです。「今はつらいから距離を置こう」と決めたことは、自分の心を守るための大切な一歩です。その決断をした自分を、しっかり褒めてあげてください。
しかし、すべての人間関係を絶ってしまうと、さらに孤独感が増してしまう可能性もあります。
大切なのは、「自分が心地よい距離感」を見つけることです。
例えば、
・子どもの話題が少ない友人と会う機会を増やす
・正直な気持ちを信頼できる友人に伝えてみる
・SNSやグループチャットから少し距離を取る
こんな風に身を守るのは、戦略的撤退です。
3. 「孤独感」を減らすためにできそうなこと
不妊治療を続けていると、周りに同じ状況の人が少なく、孤独を感じてしまうことが多いものです。同じ境遇の人と繋がるために、以下のような方法を試してみるのもよいかもしれません。
-不妊治療を経験している人たちのブログやSNSをチェックする。
-オンラインのコミュニティに参加してみる。
-不妊治療専門のカウンセリングを受ける。
ただし、同じ境遇の人とつながることにはメリットとデメリットがあります。他の人の話を聞いて「自分だけじゃない」と安心することもあれば、逆に「他の人の方が大変そうで自分の悩みを言いづらい」と感じたり、周囲の妊活が順調な場合に妬ましい気持ちになったりすることもあります。そのため、必要以上に比較せず、心が楽になる範囲で関わるのが大切です。
4. ストレスのセルフケア(ストレスコーピング)
ストレスコーピングとは、ストレスへの対処法を意味します。自分に合ったストレスの対処方法を見つけることが大切です。
効果的なストレスコーピングの方法の例をお伝えします。
-リラクゼーションを取り入れる:深呼吸や瞑想を試してみる。
– 運動をする:ウォーキングや軽いストレッチ、歌ったり踊ったりして気分をリフレッシュ。
– 気持ちを書き出す:日記やメモに感情を整理する。日記ですから、どんなに口汚い言葉で綴っても大丈夫です。
– ポジティブな時間を作る:好きな映画や音楽を楽しむ。
– 「できること」にフォーカスする:不妊治療中でも自分ができることを見つける。
これらの方法を試しながら、自分に合ったストレスケアを見つけてみてください。
無理せず、自分を大切に
焦りや孤独感を抱えることは、とても自然なことです。しかし、それを一人で抱え込む必要はありません。自分のペースでできる範囲のことをしながら、心を大切にしてください。
そして、勇気をもって自分が傷つきそうな場所と距離を取る選択をした自分を、しっかり認めてあげてください。あなたは十分頑張っていると思いますよ。無理をせず、自分を大切にしながら進んでいきましょう。あなたの妊活を応援しています。
回答者:生殖心理カウンセラー
都内不妊治療専門クリニックに勤務。性や不妊治療、カップル関係が専門で、カップル・家族の心理支援を行っています。カウンセリングではユーモラスな会話と、「話してみて良かった」と少しでも感じてもらえることがモットー。未来のために一緒に作戦会議をしましょう!
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