妊活をしたいのに上司から「控えてほしい」と言われた…どう行動するべき?【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は妊活を始めようと考えていた矢先、上司から「妊娠は控えてほしい」と言われ、職場と家庭の間で悩む20代女性からのご相談です。 仕事先が人手不足の状況で妊娠することに不安を感じる一方、パートナーは「気にせず妊活しよう」と言ってくれているそうです。

ワークライフバランス、そして妊活について生殖心理カウンセラーがお答えします。

そろそろ妊活を始めようと夫と話をし始めました。そんな中、私の職場で3人が妊娠し人手不足です。スタッフが3人の同僚妊婦さんたちと私だけなので、上司から「これ以上人が足りなくなると困るから、申し訳ないけど妊娠は控えてほしい」と言われました。妊活を始めようと夫と話し始めていた矢先の出来事で何も言えませんでした。夫に伝えると「人がいないのは仕方ないけど職場の様子を伺ってたらいつから妊活できるか分からないよね。妊娠するのも時間がかかるかもしれないから気にせず始めようよ。」と。私も早く子どもがほしいので夫の意見に賛同したいのですが、もし妊娠したら職場からどう思われるか不安です…

(20代、女性、ハンドルネーム:抹茶フラッペ、職種:事務・オフィスワーク)


妊活のタイミングは人生にとってとても重要

妊活を始めようと夫と話し始めた矢先に、職場から「妊娠は控えてほしい」と言われる…。

……え? それ、職場が言っていいことでしたっけ?

「仕事も大事。でも、妊活のタイミングだって私の人生にとってすごく重要!」——こんなふうに揺れ動く気持ち、とてもよく分かります。

納得のいく選択を取るには

では、どうしたら納得のいく選択ができるのか、一緒に考えてみましょう。

1. 「妊娠を控えてほしい」はプレ・マタハラにあたる

まず大前提として、「妊娠を控えてほしい」という発言は、れっきとしたプレ・マタニティハラスメントです。これは、「まだ妊娠していないけれど、妊娠する可能性がある人に対して行われるハラスメント」のこと。

妊娠・出産を理由にした不利益な取り扱いはマタニティ・ハラスメントと呼ばれ、男女雇用機会均等法で禁じられています。一方、プレ・マタニティハラスメントは2025年3月現在、法の対象外。

ですが、厚生労働省からは積極的に「職場のプレ・マタハラをなくしましょう」という呼びかけがされていて、「妊娠を控えてほしい」といった発言はNGだという認知が広がってきました。

会社の人手不足がどうであれ、妊娠のタイミングはあなたとパートナーの選択。職場の都合で決めるものではありません。人手不足なのに人員が補充されないのは上司にとっても苦しい状況なのはわかるのですが、それは会社の問題。あなたの性でも上司の性でもありません。

「人が足りないのは分かるけど、だからって私の人生計画を犠牲にする理由にはならない」——この考え方、忘れないでくださいね

2. パートナーさんの意見は、冷静で的確

「職場の様子を伺ってたら、いつ妊活を始められるか分からないよね。」

そう、おっしゃる通りです!「職場が落ち着いたら…」という未来は、永遠に来ない可能性があります。

妊活は計画通りにいかない場合も少なくありません。「始めたらすぐ妊娠する」とは限らないし、「まだ大丈夫」と思っていたら時間だけが経ってしまうことも。

もし、今「職場のために妊活を我慢する」選択をしたとして、5年後の自分が後悔しないと思えるか? これを自分に問いかけてみましょう

3. 「職場の目が気になる…」そんなときは?

確かに、実際に妊娠したら「どう思われるか」が気になるのは当然。でも、周りの反応って、案外自分が思っているほど気にしていないことも多いんです

・人間は意外と順応する生き物

  最初は「えっ、また人が減るの?」と言われるかもしれません。でも、時間が経てば「そういうもの」と受け入れられるものです。

<「できることはやる!」と前向きに伝える

  妊娠が分かったときに「しばらくはできることを頑張ります!」と伝えれば、職場の反応も変わるかもしれません。

<「戻る意志がある」ことを伝える

  「育休後に戻って仕事を頑張るつもりです!」とアピールすると、周りも少し安心するかもしれません。

4. それでも職場のプレッシャーが強すぎるとき

もし、「会社の圧が強すぎてメンタルにくる…」という場合は、こんな選択肢も考えてみてください。

<産業医や労働相談窓口に相談する

  「妊娠を控えてほしい」と直接言われるのは、上司のハラスメントに対する認識の弱さや、人材を十分に確保できない組織的な問題が背景に関わっていることがあります。あなたが背負う問題ではありません。困ったら専門機関に相談してみましょう。

<「今の職場にこだわる必要、ある?」と考えてみる 

 「この会社にいる限り、妊娠中も育児中もずっとこの問題に悩まされるかも…」と思うなら、環境を変えるのもアリです。

大事なのは自分自身がどうしたいのか

妊活と仕事の板挟みって、本当にしんどいですよね。でも、ここで大事なのは「誰かのため」ではなく、「あなた自身がどうしたいか」です。

「申し訳ない」じゃなく、「私はこうしたい」と胸を張れるように。妊活のタイミングは、あなたとパートナーが決めるもの。職場の状況を気にしすぎて、自分の大切な時間を後回しにしないでくださいね。

あなたが納得できる選択ができますように。応援しています!

回答者:生殖心理カウンセラー

都内不妊治療専門クリニックに勤務。性や不妊治療、カップル関係が専門で、カップル・家族の心理支援を行っています。カウンセリングではユーモラスな会話と、「話してみて良かった」と少しでも感じてもらえることがモットー。未来のために一緒に作戦会議をしましょう!


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