排卵誘発剤で太るのが不安…体外受精前の心構え【お悩み相談室】

体外受精を控え、排卵誘発剤の副作用による体重増加への不安に悩んでいる30代女性からご相談をいただきました。過去に治療を経験した家族の話からリアルな不安を抱え、治療への緊張も強まっている様子です。
心と体を大切にしながら、前向きに治療と向き合う方法について看護師がお答えします。
この度、不妊治療で体外受精を行うことになりました。次の月経が来てから排卵を誘発する注射を始める予定です。姉が不妊治療経験者なのですが、排卵誘発剤で腕・腰・足とかなり太ったということを聞き今から怯えています。毎日自分で注射を打つのも怖いです。
排卵誘発剤(女性ホルモン?)で太るのは避けられないのでしょうか。注射を止めたら体質は戻るのか(痩せるのか)もお聞きしたいです。また、排卵誘発剤を利用しているときに気をつけた方が良いことがあれば教えてください。
(30代、女性、ハンドルネーム:限界ミドサー、職種:営業)
最初に
ご相談ありがとうございます。
これから体外受精に進まれるとのこと、不安や緊張、そして少しの期待も入り混じったお気持ちでいらっしゃるのではないでしょうか。そのなかで、「排卵誘発剤で太るかもしれない」という不安が大きくなっているのですね。実際に治療を経験されたお姉さまの話だからこそ、よりリアルに感じてしまいますよね。
まずお伝えしたいのは、「太りたくない」と思う気持ちはとても自然で、大切にしていい感情だということです。女性にとって、体型や体重の変化は、見た目だけでなく気持ちのバランスにも関わるものです。
これから治療で心も体も大変になる中で、「これ以上ストレスを感じたくない」と思うのは、すごくよくわかります。
排卵誘発剤により体は妊娠の準備を始める
排卵誘発剤には女性ホルモンが含まれていて、体は“妊娠の準備”を始めます。その過程で脂肪を蓄えやすくなったり、むくみやすくなったりすることがあります。
特にお腹まわりや腰、太ももなどにふっくら感が出る方もいますし、ホルモンの影響で食欲が増すこともあるため、「前より食べたくなる…」と感じる方も少なくありません。
ただ、すべての人が太ってしまうわけではないのです。体質や生活習慣によって個人差がありますし、日常の小さな工夫で予防できることもあります。
体を冷やさないようにしたり、軽いストレッチやウォーキングを取り入れたり、塩分や糖分を控えめにしたバランスの良い食事を意識してみてください。そうした“無理のないセルフケア”が、むくみや体重の増加を和らげてくれます。
また、排卵誘発剤の影響は一時的なものです。注射をやめたあとはホルモンバランスがゆっくり整っていき、自然と体重が戻る方も多いのです。「今だけ」と思えるようになると、少し気持ちも軽くなるかもしれません。
そして、毎日注射を自分で打つことへの不安も、とてもよくわかります。「本当にできるかな」「痛かったらどうしよう」と感じるのはごく自然なことです。でも、看護師さんがやり方を丁寧に教えてくれますし、多くの方が数回で慣れていきます。
不安なことがあれば、何度でも聞いて大丈夫です。我慢せず、頼ってくださいね。
体外受精を乗り切るコツ
体外受精を乗り切るために、大切な“コツ”があります。それは「自分の気持ちに正直でいること」です。「怖い」「不安だ」「太りたくない」…そんな気持ちはどれも自然で、否定しなくていいものです。
湧き上がる思いを見ないふりをせずに、「そう感じてるんだね」と自分で受け止めてあげること。それだけでも心は少し落ち着きます。
治療中は心も体も揺れやすくなります。「どうしてこんなに弱くなったんだろう」と思う日もあるかもしれません。でも、それは弱さではなく、それだけ真剣に向き合っている証拠なのです。
「今の私、頑張ってるな」と自分に声をかけてあげてくださいね。
最後に
体外受精という選択は、簡単にできることではありません。あなたが勇気を出して進もうとしていること、それだけでも本当に素晴らしいことです。
だからこそ、できるだけ安心して、自分を大切にしながら治療を進めていってほしいなと思います。応援しています。
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