結婚式にいくらかける?不妊治療費を見据えた予算計画【お悩み相談室】
今回は、月経不順やPMSがあり、将来の妊娠に不安を抱える20代女性からのご相談です。
結婚式の費用をどこまでかけるか悩む一方で、不妊治療が必要になった場合の年間費用を早めに知っておきたいようです。
結婚準備と治療費の見通しをどう立てればよいのか、看護師がお答えします。
昔から月経不順とPMSがあり、今もピルを処方してもらっています。
近々、彼と結婚する予定なのですが、結婚式の費用をどこまでかけるか決めきれずにいます。というのも、自然妊娠できる気があまりせず、不妊治療が必要になるかもしれないと思っているからです。
子どもは絶対にほしいので、もしそうなったらどのくらいの費用が必要なのか、今のうちに把握しておきたくて。
不妊治療って段階によって費用が上がると聞きましたが、たとえば1年、2年、3年と続けた場合、年間でどれくらいかかるのが一般的なのでしょうか。
稼げるお金も限界があるので、結婚式や新婚旅行費用を考えるこのタイミングである程度の知識と覚悟をもって準備しておきたいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:ruru、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
まずは、ご結婚おめでとうございます。
本来であれば、式場のパンフレットを見たり、新生活を思い描いたりして胸が高鳴る時期ですよね。
それでも心のどこかで、
「赤ちゃんを授かれるだろうか」
「お金のことで後悔しないだろうか」
と、現実的な不安が浮かんできている。
その感覚は、とても自然なものだと思います。
これまで月経トラブルがあり、ピルでコントロールしてきたご経験があれば、「自然に妊娠できる気がしない」と感じるのも無理はありません。それは決して悲観的だからではなく、ご自身の体の歩みをきちんと理解しているからこその反応です。
「子どもは絶対にほしい」という強い思いがあるからこそ、結婚式の華やかさよりも、その後の生活や治療費の現実に目が向いてしまう。
その姿勢は、とても誠実で、将来を見据えたものだと感じます。
限りある収入の中で、結婚式も妊活も、どちらも後悔したくない。
そのために今のうちから考えておきたいという気持ちを、しっかり受け止めました。
まずは具体的な数字として整理する
今のruruさまにとって大切なのは、不妊治療に対する「いくらかかるか分からない」という不安を、具体的な数字として整理することかもしれません。
「分からないから怖い」という状態から、「ここまでなら想定できる」という基準を持つことで、気持ちは大きく変わります。
結婚式の費用を削るかどうかを決める前に、
「体の状態を知るための初期費用」と「治療が必要になった場合の年間コスト」を分けて考えてみましょう。
もし、治療費が思っていたよりも現実的な範囲だと分かれば、一生に一度の結婚式を、心から楽しめるようになるかもしれません。
結婚式か治療か、どちらかを諦める選択ではなく、制度を上手に使いながら、両方を大切にするための資金配分を考えていくことが、これからの安心につながっていきます。
専門家視点での、保険適用時代の不妊治療費のリアル
2022年4月から不妊治療の多くが公的医療保険の適用となり、経済的なハードルは以前より大きく下がりました(※1)。
ここでは、「もし治療が必要になった場合」の具体的なシミュレーションをお伝えします。
治療の段階と費用の目安(保険適用・3割負担の場合)
不妊治療は、検査やタイミング法から始まり、段階的に高度な治療へと進むのが一般的です。
第1段階:検査・タイミング法・人工授精
まずはピルを中止し、排卵があるか、卵管が通っているかなどの基本検査を行います。
排卵日を予測する「タイミング法」や、精子を子宮に注入する「人工授精(AIH)」の場合、1回あたりの費用は数千円〜2万円程度です。
年間の目安:数万円〜10万円程度
第2段階:生殖補助医療(体外受精・顕微授精など)
卵子を取り出し受精させて戻す治療です。
以前は1回50万円前後が全額自己負担でしたが、現在は保険適用により、窓口負担は1回あたり10万円〜15万円前後となるケースが多いです。
高額療養費制度の活用:年収にもよりますが、1ヶ月の医療費負担の上限は約8万〜9万円程度に抑えられます(※2)。
年間の目安:年に3〜4回体外受精を行ったとしても、制度を活用すれば年間30万〜50万円程度を見込んでおけば標準的な治療はカバーできます。
まずはブライダルチェックやAMH検査を受け、「急ぐべきかどうか」を知ることが大切です。
年間50万円程度を未来の赤ちゃん貯金として別枠で考えておけば、残りの予算は安心して結婚式や新婚旅行に使っていただいて大丈夫です。
体の状態を知るための初期費用
ブライダルチェック
ブライダルチェックとは大切なパートナーとの将来や、いつか授かる赤ちゃんのために、ご自身の体の状態を知るための検査です。
子宮や卵巣の異常、感染症の有無、風疹への免疫などを確認することで、将来の不妊リスクを早期に把握できます。費用は自費診療で1万〜3万円程度が相場です。
AMH検査
AMHは卵子の在庫量の目安を調べる検査です。
質は測れませんが治療計画の重要な指標となります。
費用は保険適用で1,800円、自費で5,000円〜8,000円程度が一般的です。
最後に
お二人の大切な門出と、その先の未来が穏やかで温かなものになることを、心から願っています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
こども家庭庁
▶不妊治療の保険適用:https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/funin/※1
厚生労働省
▶高額療養費制度を利用される皆さまへ:高額療養費制度について※2
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