性交痛で2人目妊活が進まない…産後のセックスレスが原因?今後どう進めたらいいでしょうか?【助産師監修:お悩み相談室】
今回は、産後セックスレスを経て久しぶりに妊活に挑戦したものの、奥様の強い性交痛により最後まで至れず悩んでいる30代男性からのご相談です。
「35歳という年齢への焦り」と「奥様への申し訳なさ」の間で葛藤していらっしゃいます。
授乳やホルモン低下、長期間の空白による自律神経の緊張が引き起こす「産後の性交痛」の仕組みを解説。「最後まで行うこと」を一度目標から外し、安心感を育むスキンシップの取り方や、無理のない妊娠へのアプローチとして婦人科・不妊外来を賢く活用するポイントについて、助産師がお答えします。
はじめまして。先日、久しぶりに2人目のためにと試みたのですが、妻が強い性交痛を訴え、最後まで至ることができませんでした。
2歳半になる娘がいるのですが、産後セックスレスの状態が続いていたのが原因なのでしょうか?それとも出産で体質が変わったのでしょうか?
僕が知る限りでは、妻から「痛い」と言われたことはなく、本人も「こんな感じじゃなかったのに」と言っています。
潤滑剤を使ってもみましたが、妻は少し恐怖心が残ってしまったようで、僕もどう進めたらいいのかわからなくなってしまいました(大変恥ずかしいし情けないです…)。
でも、お互いに「きょうだいを作ってあげたい」という気持ちは一致しています。娘にも「おとうと、ほしい~」と要求されます(苦笑)
1人目の時は何の苦労もなくできました。妻が35歳になり高齢出産にかかってくるので、正直焦っています。自然に授かるのは無理でしょうか?
(30代、男性、ハンドルネーム:クロネコ、職種:営業)
最初に
ご相談ありがとうございます。
奥様が性交時に強い痛みを感じ最後までできなかったことから、「自分が傷つけてしまったのではないか」「このまま妊娠できないのでは」と不安になりますよね。
さらに久しぶりだったことや娘さんに「きょうだいをつくってあげたい」というお二人共通の願いや奥様が35歳になり高齢妊娠となることへの不安も重なり、焦る気持ちになったのはとても自然なことだと思います。
今回は女性にとっての性交痛の原因についてお伝えし、今後どのように進めるのが良いのかご夫婦で相談するきっかけになれば幸いです。
産後の性交痛は珍しくないこと
まず、産後に性交痛を感じたことがある女性は決して少なくありません。
「以前は痛くなかったのに、産後から痛くなった」
「久しぶりに試みたら、思った以上に痛かった」
という声は助産師としてもよく耳にします。
この背景には、いくつかの要因が考えられます。
産後の性交痛が起こる要因
1つ目は、産後のからだの変化です。
授乳をしていた期間や、その後もしばらくは女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下しやすく、腟の潤いが少なくなったり、粘膜が敏感になったりすることがあります。
また、出産時の会陰裂傷や会陰切開の傷が治っていても、傷跡がつっぱるように感じる方もいます。
次に、長期間性交がなかったことによるからだと心の変化です。
小さなお子さんの育児に追われる日々の中で、ご夫婦が恋人同士のような時間を持つ機会はどうしても少なくなります。
そのため、久しぶりに性交すると、体が十分にリラックスできず、緊張から骨盤底筋が無意識に力んでしまったり、粘液が十分に分泌されない場合があり、その結果、痛みを感じやすくなることがあります。
そして、1度「痛い」という経験をすると、「次もまた痛いかもしれない」という不安が生まれます。
この不安は、ご本人が意識していなくてもからだと心を緊張させ、さらに痛みを強く感じるという悪循環につながることがあります。
今回、潤滑剤を使っても奥様に恐怖心が残ってしまったということですが、こちらも珍しいことではありません。
安心して触れ合える時間を取り戻すこと
そのため、今は「最後までできること」を目標にするよりも、「安心して触れ合える時間を取り戻すこと」を大切にしてみてください。
一緒に横になって手をつなぐ、ハグをする、ゆったりと過ごす…
このような性交を目的としないスキンシップを重ねることで、「この人と一緒にいると安心できる」という感覚が少しずつ戻り、その経験の積み重ねがこころと体の緊張を和らげることにつながる場合があります。
また、関係をもつ際にも「途中でやめても大丈夫」「痛かったらすぐやめようね」と予め伝えておくことも、奥様の安心感につながると思います。
あなたのせいじゃない。婦人科相談も選択肢のひとつ
「どう進めたらいいのかわからない」「情けないです」という言葉がありますが、どうかご自分を責めないでください。
性交痛は、パートナーの愛情や技術が原因で起こるとは限りません。
ホルモンの変化や筋肉の緊張、痛みへの恐怖や育児による疲労・睡眠不足など、さまざまな要因が重なって起こることがあります。
奥様も「こんな感じじゃなかったのに」と戸惑っておられることから、お二人とも同じように困っている状況なのだと思います。
奥様のご年齢や、自然妊娠が難しいのではないか…と焦りもあるようですが、性交痛があるからといって自然妊娠ができない、と決まったわけではありません。
しかし、性交が難しい状態が続けば、妊娠の機会が少なくなってしまうため、早めに婦人科へ相談されることをおすすめします。
性交痛に多い2つのタイプとは
性交痛には原因によってさまざまなタイプがありますが、大きく分けると「入口付近が痛むタイプ」と「奥が痛むタイプ」があります。
入り口付近が痛むタイプ
1つ目は「入口が痛い」「挿入しようとするとひきつれるように痛い」といった腟の入り口付近や外陰部(皮膚・粘膜)で感じる痛みになります。
主な原因は、産後のホルモン変化による乾燥や潤い不足、膣炎や皮膚の炎症、会陰の傷あと、心理的なものなどがあります。
奥が痛むタイプ
一方で、「奥が痛い」「突かれるとお腹にズキッと響く」など奥をおされるような痛みの場合には、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が隠れている場合もあります。
そのため、「我慢すれば大丈夫」と自己判断せず、一度産婦人科で相談されることをお勧めします。
婦人科でできること
婦人科では、性交痛の原因を確認し、必要に応じて腟や外陰部の状態を診察したり、ホルモンの影響や感染症、子宮内膜症などの病気がないかを調べ、原因に応じて治療を行うことで、痛みが改善する方も少なくありません。
また、妊娠を希望されているご夫婦であれば、性交痛への対応と並行して妊娠に向けた相談をすることもできます。
最後に
お子さんから「おとうとほしい~」とせがまれると、焦る気持ちも出るでしょうが、まずは奥様が安心して笑顔でいられることが何よりも大切です。
妊娠への近道は、「無理をして性交を続けること」ではなく、お二人が安心して向き合える環境を整えることです。
安心感が戻ることが、結果として自然な妊娠への第一歩につながることも少なくありません。
どうか「急がなければ」という気持ちで無理に進もうとせず、ご夫婦お二人で同じ方向を向きながら、一歩ずつ進んでいってください。
そして困ったときには、婦人科や不妊症外来、心理士などの専門家を頼ることも、大切な選択肢の一つだと思います。
ご相談文からは、奥様を思いやるお気持ちと、「痛い思いをさせたくない」という優しさが伝わってきました。
その思いは、きっと奥様にも届いているはずです。
焦らず、お二人のペースで歩んでいってください。
少しずつ恐怖心や抵抗感が和らぎ、「もう一度頑張ってみよう」と思える日が訪れることを願っています。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産婦人科医会
▶性交痛の診断と治療:https://www.jaog.or.jp/note/(5)性交痛の診断と治療/
▶女性の健康Q&A_性交痛があります。どうしたらいいですか:https://www.jaog.or.jp/qa/menopause/jyosei200212/
▶性交痛を訴える性成熟期女性に器質的異常を認めない場合の対処法は?:https://www.jaog.or.jp/note/no116_3_21/
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