寝つきの悪さや動悸は更年期と自律神経の乱れ?どう整えたらいい?【お悩み相談室】

更年期
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今回は、寝つきの悪さや動悸などの症状を訴えたら「更年期と自律神経の乱れ」と診断された40代女性の方からのご相談です。自律神経のバランスを整えるために日常でできることはどんなことでしょうか。

自律神経の働きや、生活の中で自律神経を整える方法について保健師がお答えします。

ここ半年くらい、寝つきが悪くなったり、動悸がしたり、朝から気分がどんよりしたりすることが増えてきました。病院で「更年期と自律神経のバランスの乱れかもね」と言われたのですが、「自律神経」って聞くと、なんだか一生治らないような気がして余計に不安になります。

カウンセリングも勧められたけど、いきなりそこまでしなくても…と思っていて。

まずは日常でできることがあれば知りたいし、どう捉えていけばいいのか気持ちの整理がしたいです。

(40代、女性、ハンドルネーム:みち、職種:販売・サービス)


最初に

みちさん ご相談ありがとうございます。
寝つきが悪くなると、疲れをしっかりと取れず、朝の目覚めも悪くなりますよね。
動悸がすると、今までより疲れやすく、行動も制限してしまうことがあるかもしれません。

今回は自律神経について説明し、日常生活の中で自律神経を整えるポイントをお伝えし、みちさんが取り組んでみようと思う方法が見つかれば嬉しいです。

自律神経ってどんな働きをしているの?

自律神経は、呼吸や体温調節、血液循環、発汗調節、消化など私たちが普段無意識に行っている身体の働きを調整している神経です。
この自律神経は交感神経と副交感神経の2種類で構成され、自動車で例えると交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの働きを担っており、この2つが協調してバランスを取りながら機能することで身体は様々な状況に適切に反応できるようになっています。

例えば、交感神経優位の場合は、身体の機能を刺激・促進するため心身共にアクティブになり、血管が収縮して血圧が上昇し、心拍数が増え、呼吸も早くなり活動・緊張モードになり、主に日中の活動時間帯や緊張時にあたります。

逆に副交感神経優位の場合は、身体の機能を抑制するため、血圧が下がり呼吸もゆったりと落ち着き、休息モードになり、主にリラックスしている時や夜間のゆったり時間にあたります。

そのため、この2つの神経は1日のリズムに合わせて、どちらかが優位になることで調整しています。
自律神経のバランスの乱れとは、この2つの神経の調整のバランスが乱れている可能性をさします。

40代から増える“自律神経の乱れ”の背景

自律神経のバランスの乱れは、自律神経や脳の特定の部分に損傷が起きる病気が原因で生じることもあれば、明らかな原因がなく自然に発生することもあります。

病気として一般的な原因としては、糖尿病、末梢神経疾患、パーキンソン病があり、その他にも加齢が挙げられます。

特に現在、更年期以外何らかの病気を診断されているわけではなく、これらの病気に関連する症状もなければ、加齢によるホルモンバランスの乱れと共に自然に発生した可能性があります

日常でできる、自律神経を整える工夫

ー規則正しい生活を心がける

では、この場合、どのようなことが日常生活でできるのか、というと、規則正しい生活・バランスのとれた食生活・適度な運動で生活リズムを整えることが1番です。
販売・サービス業の場合、シフト制など日々リズムが違うかもしれませんが、食事や起床・就寝時間をできるだけ一定に保ち、身体のリズムを整えてあげられると良いでしょう。

ーぬるめのお湯に浸かりリラックス

また、寝つきが悪く動悸もする、ということは交感神経優位の状態なので、お休み前に副交感神経優位にしてあげる必要があります。
緊張している心身をほぐしてあげることが効果的ですが、とても簡単な方法として、ぬるめのお湯にゆったりと浸かることをおすすめします。

身体を温めるために熱いお湯の方が…と思われるかもしれませんが、熱いと身体が緊張し逆効果になりますので、必ずぬるめのお湯に浸かるようにして、自然と「ホッ」と一息付けるようにしてみてください。

また、可能なら明かりも少し暗めにして、目も軽く閉じてみましょう。
ゆっくりと深呼吸を続け、身体の余計な力が抜けていくような感覚を味わってみてください。

入浴後は、常温のお水やお白湯で水分補給をしたら、テレビや携帯電話など視覚的な刺激は避け、早めに就寝してください。
もちろん就寝時はできるだけ暗いお部屋で視覚的にも休む時間であることを教えてあげましょう

ー朝の光と軽い運動で体をリセット

起床時は、カーテンを開けて朝日を浴びてみてください。
朝日を浴びながら30分ほどウォーキングすると、「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」という神経伝達物質が分泌されますが、このセロトニンは気分を安定させ、心身をリラックスさせる効果があり、また夜には睡眠の質を高める「メラトニン」の生成にもつながります

体力が戻ってきたら、朝のウォーキングも検討なさってくださいね。

最後に

体調が優れない中で、色々と取り組むことはかえって状況を悪化しかねないので、まずはみちさんがリラックスできる時間を積極的にとっていただき、身体を休ませてあげることが優先かと思います。
そして、体調が回復してきたら、できることから無理のない範囲で生活を見直してみてくださいね。

みちさんの心と身体の緊張がほぐれ、ゆったりと過ごせることを願っています。


<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

MSDマニュアル家庭版
▶自律神経系の概要:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-自律神経系の概要

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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