PMSで長年ピルを飲んできたけれど…更年期に入った私はやめどきでしょうか?【お悩み相談室】

更年期
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長年PMSに悩まされ、30代からピルを飲み続けてきた48歳女性のご相談です。
ピルのおかげで月経前のつらさは落ち着いたものの、ホットフラッシュのような“更年期のサイン”を感じ始め、不安になっているとのこと。

「ピルを続けていいの?」「閉経ってどう判断するの?」「PMSがひどい人は更年期もつらいの?」
今回は、その疑問に助産師がお答えします。

PMSがひどく30代からずっとピルを服用しています。ピルのお陰でPMS症状は落ち着いたのですが、48歳になり、ホットフラッシュのような更年期症状が出てきた気がします。閉経後はピルがよくないとも聞き、いつまで飲み続けていいのかわからないままです。

処方してもらっている病院で相談すればいいと思いつつ、まだ40代だし、更年期と信じたくない気持ちもあって相談できておらず…対面じゃなければ聞きやすいなと思って投稿させていただきました。

ピルを飲んでいても閉経したかどうかってわかるものでしょうか?
また、PMSがひどいタイプは更年期症状もひどくなりやすいのでしょうか?

(40代、女性、ハンドルネーム:青空レター、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

青空レターさん ご相談ありがとうございます。

PMSがひどかったためずっとピルを服用しているものの、ホットフラッシュのような更年期症状を感じておられるのですね。

いつまでピルを飲み続けていいのかわからず、PMSがひどかったことから、更年期症状もひどくでるのかとも不安に思われているのですね。

今回は40代以上でのピルの内服についてお伝えし、青空レターさんが今後のピル内服についてかかりつけ医の先生へ相談するきっかけになれば幸いです。

更年期は閉経前後の10年間

更年期と呼ばれる期間は、閉経前後5年の10年間をさします。

日本人女性が閉経する平均年齢は、50歳前後といわれていますので、40代~50代で更年期にはいり、この期間にホットフラッシュや発汗、関節の痛みなどの身体的な症状やイライラ・情緒の不安定さなどのこころの症状などいわゆる更年期症状を感じるようになります。
(ここでは、更年期症状についての詳細は省略させていただきますね)

ピルは閉経後は使えない?年齢で変わる“安全性”

世界保健機構(WHO)では、ピルの内服は、初経から閉経までとしており、閉経後に内服することはできません

日本では、40歳以上では血栓症や心筋梗塞のリスクが高まるためBMIが30以上の方、高血圧・高脂血症・糖尿病、喫煙者、週間流産の既往がある方は使用できず、それ以外の月経がある方でも慎重な投与が必要とされています。

50代では、ほとんどの方が閉経を迎え、また閉経していない場合でも、年齢による血栓症・心筋梗塞のリスクはさらに高まるため、「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2023」では50歳以上または閉経後のピルの内服は禁忌となっております。


閉経前後の更年期のホルモンバランスによる不調に対しては、ピルではなくホルモン補充療法(HRT)や漢方治療、カウンセリングなどの心理療法、抗不安薬や抗うつ薬などが選択肢となります。

ピル服用者の閉経の見分け方

最後の生理から1年間生理が来なければ閉経と診断されますが、ピルを内服していると、休薬期間中にも出血が起こり、消退出血と月経による出血は見た目では区別がつかず、閉経したかどうかの判断が困難です。

消退出血:ホルモン剤の服用を中止または休薬した際に起こる人工的な出血のこと。
それに対して、月経は自然な排卵と受精卵の有無によって、子宮内膜が剥がれ落ちる現象。



まずは、一旦ピルをやめてみて、自然に月経がくるかどうかを確認してみましょう。
そして、かかりつけ医と相談して血液検査にて女性ホルモンの値を調べてみましょう。
これによって閉経しているかどうか判断することが可能です。



閉経していない場合、ピルの内服をやめれば再度PMSの症状が再発する可能性があります。
閉経している場合は、ピルを内服しなくてもホルモンバランスの変化がないため症状に悩まされることはないかと思います。

現在ホットフラッシュのような更年期症状も感じておられるので、その症状のしんどさによっては、対応した治療への変更もかかりつけ医で相談することが可能です。

PMSが重かった=更年期も重い?

更年期症状は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下するために起こり、PMSは月経周期に伴う女性ホルモンの分泌の変化により排卵後~月経前・中に起こり、月経が始まると通常は軽減・消失します。

PMSは排卵後に分泌される黄体ホルモンの影響があり、更年期症状とは発生機序が異なります
また、更年期症状・PMSのどちらもホルモンバランス以外に、身体的変化や心理的要因、家庭や職場などでの環境要因(社会的因子)が複合的に影響しています。
そのため、PMSがひどかったからといって、更年期症状もしんどくなるとは一概に言えません

まずは現状を“見える化”するために医師に相談を

PMSでしんどい経験をされているからこそ、ピルの内服を中止することに躊躇されるとは思いますが、今のご自身の状況を確認するためにも1度ピルの内服中止をかかりつけ医で相談されてみてはいかがでしょうか?

現状を知ることに対する不安もあるかと思いますが、お薬には作用もあれば副作用もあります。
安心・安全にお使いいただくためにも、今のご自身の状況を知ることは、青空レターさんの今後の健康管理にも役立てられるかと思います。
かかりつけ医での相談をご検討いただければ幸いです。


<参考文献・出典>

公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf

公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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