ペットと過ごす癒しの時間から、「楽しい」が消えた更年期の日常がつらいです【お悩み相談室】

更年期
記事をシェア

今回は、子育てがひと段落し、ずっと夢だった犬との生活を始めたものの、最近その時間を「楽しい」と感じられなくなってきた49歳女性からのご相談です。
愛情がなくなったわけではないのに、散歩が義務のように感じられ、日々が無味乾燥に思えてしまうことに、不安を抱えています。

更年期に起こりやすい心の変化や、「元に戻ろう」と無理をしなくても喜びを取り戻していく考え方について、公認心理師がアドバイスします。

こんにちは。49歳、子育てがひと段落し、ずっと夢だった犬との生活を数年前に始めました。はじめの頃は一緒に散歩したり、じゃれ合ったりするのが本当に楽しくて、毎日が癒しの時間でした。

でも最近、ふと気づいたらその「楽しい」が感じられなくなってきて…。散歩も義務みたいに感じてしまうし、名前を呼ぶ声にも気持ちがこもらない。愛情がなくなったわけではないと思うのに、以前のような喜びが湧いてこないんです。

更年期のせいか、心がずっと曇っているような感覚があって、なんでも億劫で、日々が無味乾燥に思えます。自分でも「贅沢な悩みだ」と思いながら、でもこのまま“何も楽しくない毎日”になっていくのかと不安でたまりません。

元の自分を取り戻して犬との生活を楽しむ方法を、ぜひ教えてほしいです。

(40代、女性、ハンドルネーム:百恵、職種:主婦)


最初に

百恵さんのメッセージを読ませていただいて、胸がぎゅっとなりました。
大切な家族のような存在であるワンちゃんとの時間が、かつては癒しであり喜びだったのに、今は「義務みたい」と感じてしまう。

その違和感に気づいて、「どうしたんだろう」と立ち止まる——
きっとその違和感は、とても言葉で表現しにくい、ぼんやりとしたものではないでしょうか。今回、よくご相談くださいましたね。

愛情はあるはずなのに気持ちが動かない理由

「愛情がなくなったわけではないのに、気持ちが動かない」という感覚、これは決して“贅沢な悩み”ではありません。

むしろ、これまで家族のこと、子育て、日常のことに全力で走ってきた人が、ふと立ち止まったときによく起こる自然な現象です。

長年、誰かや何かのために頑張ってきた人の心は、ちょっとした休息期に入ると、喜びや感情の波が“静音モード”になることがあります

スマホで言えば、電池残量が10%を切って「省エネ設定」に切り替わっている状態です。


感情が鈍くなるのは、心が壊れそうになる前に“セーフティーモード”にしている——そんな、身体の優しさでもあるんです

今のあなたを受け止めて、ゆっくり再起動を

40代後半から50代にかけての時期は、女性ホルモン(エストロゲン)の変化が大きく、体の疲れやすさに加えて、気分の落ち込みや無気力感が出やすくなります。

いわゆる更年期の「心の不調」は、単なる気分の問題ではなく、体のホルモンバランスや自律神経の影響も強く関係しています

「今の私はダメだ」と責める必要はまったくありません

むしろ、「体も心も次のステージに向けてアップデート中なんだな」と受け止めてあげてください。

そして、元の“楽しい自分”に戻るコツは、「元に戻ろうとしすぎないこと」です。

喜びの感度が一度下がっているときに「楽しまなきゃ」「感動しなきゃ」と力を入れると、余計に疲れてしまいます。

おすすめは、“喜びの再起動”をゆっくり行うこと

たとえば、散歩の途中でワンちゃんをじっと見つめて、「この子、今日もちゃんと歩いてるな」と小さな事実を確認するだけでもOK

以前のようにテンション高く「かわいい〜!」と言えなくても、「一緒にここにいる」という事実を味わうだけで良いのです

“〜しなきゃ”をひとつ手放してみる

さらにもう一歩踏み出すなら、何かを増やすより“減らす勇気”を持ってみてください
人は、心が疲れているときに「何かを足さなきゃ」と思いがちですが、本当に必要なのは「減らすこと」

たとえば、

・朝の家事の手をひとつ抜く

・SNSのスクロール時間を5分減らす

・「〜しなきゃ」と思うタスクを一つキャンセルする

心のスペースが空くと、自然に喜びを感じ取る力が戻ってきます
それは大げさな幸せではなく、日差しの温かさや、犬の緩んだ寝顔を見てふっと笑みがこぼれるような、小さな幸福です。

自分の状態を知るだけでも安心できる

もし、気分の落ち込みや不眠が長く続くようなら、婦人科や心療内科に相談してみるのも良いでしょう。
検査を受けるだけでも、自分の状態を知ったことで安心感が生まれます。


また、SMI(更年期指数)問診票のような自己チェックをしてみるのもおすすめです。
インターネットで検索すると、簡単に探すことができます。

最後に

犬は、人の心のリズムをとてもよく感じ取ります。

百恵さんが少し元気をなくしているときは、ワンちゃんも「今日はのんびりモードだな」と感じて、あなたのペースに寄り添っているかもしれません

だから無理に明るくふるまう必要はありません。

今日の散歩は、静かな心で、ただ歩くだけで大丈夫

いつかまた、自然に「かわいいね」と声がこぼれる日がやってきますように。


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


専門家がこたえます!お悩み募集中です

「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。

毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。

記事をシェア
あなたのお悩みを募集中。

あわせて読みたい

トップ > 更年期 > ペットと過ごす癒しの時間から、「楽しい」が消えた更年期の日常がつらいです【お悩み相談室】