50代の息苦しさは我慢しないで。自律神経を整え、睡眠の質を上げるための更年期との向き合い方【お悩み相談室】
今回は、突然の胸の苦しさや息苦しさ、そして眠りの浅さに悩まされている50代女性からのご相談です。
周囲の「深刻に考えない方がいい」という言葉に戸惑いつつも、日常生活に支障が出ている現状に強い不安を感じておられます。
更年期に起きる自律神経の乱れとは何か、心身を労わる習慣や受診の目安について保健師がアドバイスします。
半年ほど前から、更年期なのか、時々胸がぎゅっと苦しくなることがあります。仕事中や家事の合間に突然息がしづらくなると、このまま倒れてしまうんじゃないかと怖くなってしまいます。
夜も眠りが浅くなり、寝不足で日中もぼんやりしてしまうことが増えました。
これまでに自分で深呼吸をしたり、ストレッチを取り入れたりしましたが、その時は少し楽になるものの、またすぐに息苦しさが戻ってしまいます。
周りには「ただの更年期だから深刻に考えないほうがいいよ」と言われますが、本当にそうなのか、どう付き合っていけばよいのか分からず、不安でいっぱいです。
(50代、女性、ハンドルネーム:いろどり、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
いろどりさん ご相談ありがとうございます。
半年ほど前から、胸がぎゅっと苦しくなったり、突然息がしづらくなることがあるのですね。
眠りも浅く、寝不足も日中の生活に影響が出ているようですね。
倒れてしまうんじゃないか…と常に不安を抱えながら過ごさなければならないことは、かなりのストレスだと思います。
今回は、胸の苦しさや息がしづらくなる原因について説明し、いろどりさんがこれらの症状とどう付き合っていけば良いのか気づきが得られたらと思います。
なぜ胸が苦しくなるの?更年期に起こる「自律神経の乱れ」とは
更年期に動悸や息切れなどの症状が起きる原因は、まだ解明されていない部分もありますが、主には閉経に伴う女性ホルモンの減少が、自律神経の働きを乱すことによって起こると考えられています。
自律神経は、呼吸、体温調節、血圧、心臓の動き、消化など生命維持に必要な身体の機能を自分の意思とは関係なく調整する神経です。
この自律神経は、活動を活発化し、興奮させる作用のある「交感神経(車で例えるとアクセルの働き)」と落ち着かせリラックスする作用のある「副交感神経(ブレーキの働き)」の2つがバランスを取りながら働いています。
しかし、ホルモンバランスやストレス、不規則な生活などで自律神経のバランスが崩れると、様々な不調を引き起こす可能性があります。
加齢だけが原因じゃない。更年期症状を左右する「心と環境」
更年期症状の主たる原因は卵巣機能の低下ですが、それ以外にも加齢に伴う身体的変化、精神的・心理的な要因、社会文化的な環境因子などが複合的に影響することにより症状が発現すると考えられており、臨床でもこれらの因子を包括的に評価することが重要とされています。
卵巣機能の低下は、年齢と共に起こるご自分ではどうしようもないことですので、それ以外の身体的変化、精神的・心理的な負担、環境的な問題などに注目し、日々の生活を振り返ってみるのが良いと思います。
朝日を浴びて体内時計をリセット!幸せホルモン「セロトニン」を味方に
生活としては、規則正しい生活、バランスのとれた食事、ストレスをため込まない、適度な運動が推奨されますが、息苦しさもあるため、ご自身がリラックスできる環境でゆったりと過ごす時間を積極的にとっていただき、ご自分を労わってあげてください。
症状があれば「深刻に考えない」ことは難しいかもしれませんが、ご自分にとって好きなこと、熱中できることをやって、考えなくても良い時間を作るのも良いと思います。
また、朝起きて、朝日を直接5~10分程度浴びると、体内時計がリセットされ、睡眠・覚醒のリズムが整いやすくなります。
(この時、窓ガラス越しではなく、直接朝日を浴びるのが良いと言われています)
この時、朝日の光刺激から、脳内で幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促されます。
このセロトニンは夜になると、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」に作り変えられ、夜間の睡眠リズムを調整し、睡眠の質が高まる可能性があります。
また、セロトニンには、喜びや快楽などに関わるドパミンや恐怖、驚きなどに関わるノルアドレナリンなどの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
このセロトニン分泌の低下の原因に、女性ホルモンの分泌の減少が関わっていることがわかっており、更年期障害と関わりがあると言われていますので、ぜひ朝日を活用してセロトニンの分泌も促してくださいね。
他の病気の可能性を確認して「安心」を手に入れる
ただ、息苦しさは、更年期症状に伴う自律神経の乱れ以外にも、肺や心臓、貧血、過換気症候群など他の病気も考えられます。
息苦しさや眠りが浅いことによる寝不足によって、いろどりさんは既に日々の生活において支障をきたしていると思われ、更年期障害の疑いとして産婦人科へ1度ご相談いただいた方が良いかと思います。
他の病気ではない、ということが確認できれば、余計な心配・不安もなくなるのではないかと思います。
最後に
1日に何度も息苦しさを感じていれば、不安になられるのも当然だと思います。
今の状況が更年期障害も含め何らかの病気ではないかを確認した上で、適切な対処・治療を受けながら、朝日でセロトニンの分泌を促す活動を無理のない範囲で取り組んでいただければと思います。
いろどりさんの睡眠の質が少しずつ改善されていくよう応援しています。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編2023:https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2023.pdf
厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」
▶記事・用語辞典メニュー:セロトニン:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/heart/yk-074
専門家がこたえます!お悩み募集中です
「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。
毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。



