更年期症状の緩和に漢方を服用中です。風邪気味で市販の葛根湯や風邪薬を併用しても、大丈夫でしょうか?【薬剤師監修:お悩み相談室】

更年期
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今回は、更年期のホットフラッシュ治療で漢方(桂枝茯苓丸)を毎日服用している50代女性からのご相談です。
市販の葛根湯や総合風邪薬に含まれる「甘草」の重複による「偽アルドステロン症」を心配しておられます。

偽アルドステロン症や漢方薬の副作用について解説し、飲み合わせの確認に薬剤師へ相談することの大切さ、相談方法について、薬剤師がお答えします。

更年期のホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)治療のため、婦人科処方の「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を毎日服用しています。

昨日から子供の風邪がうつり寒気がするため、市販の「葛根湯」や「総合風邪薬」を飲もうと思って、飲み合わせをスマホで検索したところ、多くの薬に含まれる「甘草(カンゾウ)」の重複による「偽アルドステロン症(血圧上昇やむくみ等)」のリスクを知り、不安になりました。

桂枝茯苓丸には甘草が含まれていないようですが、葛根湯や市販の風邪薬と併用しても本当に安全でしょうか?
漢方は薬とは違い副作用のないイメージでした。
今後も飲む漢方は増えるかもしれません。風邪薬以外でも市販薬を購入する際には、飲んでいる漢方をすべて薬剤師さんに伝えて商品を見繕ってもらう方がよいですか?

(50代、女性、ハンドルネーム:寿司めし、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

更年期の症状を和らげるために漢方薬を続けている中で、風邪をひいてしまったら、「いつもの漢方に風邪薬を足しても大丈夫かな?」と気になりますよね。

特に、薬の飲み合わせを調べていて「甘草」「偽アルドステロン症」といった言葉を知り、血圧が上がったり、むくんだり、カリウムが低下したりすることがあると分かれば、「今飲んでいる漢方も大丈夫なのかな」と心配になってしまうと思います。
漢方薬は「体にやさしいもの」「副作用が少ないもの」というイメージもあります。
そのため、漢方薬にも副作用や飲み合わせへの注意が必要だと知ると、少し驚きますよね。

でも、こうした情報を知ったからといって、漢方薬や市販薬を必要以上に怖がる必要はありません。
大切なのは、今飲んでいる薬の成分を知り、追加する薬と重複するものがないかを確認することです。

薬剤師に「成分の重複や飲み合わせ」を確認

まず、「甘草が入っている=危険」と一律に考える必要はありません。
甘草を含む漢方薬を服用したからといって、必ず偽アルドステロン症が起こるわけではありません。

一方で、甘草を含む漢方薬を複数使用すると、甘草の摂取量が重なるため注意が必要になることがあります。
そのため、薬を追加するときには、今飲んでいる漢方薬と新しく使いたい市販薬をまとめて確認してもらうのがおすすめです。
特に総合風邪薬は、ひとつの商品に複数の成分が含まれているため、甘草だけでなく、ほかの薬との重複や飲み合わせも確認する必要があります。

市販薬を購入するたびに、漢方薬の成分を自分ですべて調べる必要はありません。
「今、〇〇という漢方薬を飲んでいます」と薬剤師に伝えれば、成分の重複や飲み合わせを確認してもらえます。

今後、漢方薬が増えた場合も同じです。
お薬手帳などを活用しながら、現在使っている薬をまとめて伝えることで、安心して市販薬を選べるようになります。

「偽アルドステロン症」や漢方薬の副作用について

本来、アルドステロンは副腎から分泌されるホルモンで、体内に塩分と水分をため、カリウムの排泄を促して血圧を上昇させる働きがあります。
「偽アルドステロン症」は、血液中のアルドステロンが増えていないにもかかわらず、アルドステロンが過剰になった場合と似た状態を示すものです。

甘草に含まれるグリチルリチン酸が関係しており、ナトリウムや水分が体内にたまり、カリウムの排泄が促されることで、高血圧、むくみ、低カリウム血症などが起こります。
低カリウム血症が高度になると、手足に力が入りにくく、脱力感などが現れ、重症の場合には不整脈につながることもあります。

ただし、甘草を含む漢方薬を服用したからといって、必ず起こるわけではありません。
甘草・グリチルリチン酸の摂取量が多いほど起こりやすくなる傾向があり、服用量や服用期間なども関係します。

今回服用されている桂枝茯苓丸は、一般的な医療用製剤では、桂皮、芍薬、茯苓、桃仁、牡丹皮の5種類の生薬から構成されており、甘草は含まれていません。
一方、葛根湯には甘草が含まれていますが、桂枝茯苓丸と葛根湯を一緒に服用することで、甘草が重複するわけではありません。
ただし、ほかにも甘草を含む漢方薬や医薬品を使用している場合には、重複に注意が必要です。

また、漢方薬の副作用は偽アルドステロン症だけではありません。

桂枝茯苓丸でも、発疹やかゆみ、食欲不振などがみられることがあり、まれに肝機能障害が起こることもあります。
そのため、「甘草が入っていないから副作用の心配はない」ということでもありません。

服用中にいつもと違う症状や気になる変化があれば、自己判断で飲み続けず、処方した医師や薬剤師に相談してください。

最後に

市販の総合風邪薬を選ぶ場合も、甘草だけを確認すればよいわけではありません。
現在服用している漢方薬や処方薬を薬剤師に伝えたうえで、選んでもらうと安心です。

漢方薬も医薬品なので、副作用や飲み合わせへの注意は必要です。
でも、「漢方だから危険」ということでもありません。
必要な注意点を知り、分からないときや服用中に気になることがあったときは、薬剤師や医師に相談しながら使っていけば大丈夫です。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

一般社団法人 日本内分泌学会
▶偽アルドステロン症:https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=36

厚生労働省
▶偽アルドステロン症:https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1d02.pdf

この記事の回答者

北里大学薬学部卒業後、総合病院産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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