多嚢胞性卵巣症候群で生理不順…ピルを飲むべき?【お悩み相談室】

生理・PMS
記事をシェア

今回は、多嚢胞性卵巣症候群による生理不順に悩む20代女性からのご相談です。 周期が安定せず、生理がくるタイミングがわからず、予定が立てられないことに不安を感じているそうです。

 ピルのメリット・治療や、生理不順との付き合い方について、助産師がお答えします。

多嚢胞性卵巣症候群と診断されました。特に治療方法はなくピルを飲んで定期的に生理を来させるか、飲まずに様子を見ても良いとのことだったので、今は飲まずに様子を見ていますただ本当に生理が来ません。しっかり28日で来ることもありますが50日くらいこないこともあります。ありがたいことにPMSに悩んだこともないのでいつ生理がくるか自分でも分からず、予定が立てづらいという大変さがあります。近々温泉旅行に行く予定を立てているのですが、旅行と生理がかぶったらどうしようと不安いっぱい…。ピルを飲んで生理周期を把握するほうが良いと思うのですが、ピルを飲むことに心配が大きく…。私の悩みによさそうな対応方法があったら教えてほしいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:リゾット、職種:営業)


多嚢胞性卵巣症候群は月経異常が見られる

ご相談いただき、ありがとうございます。

生理がいつくるのかがわからず、予定が立てづらい、ということですね。

確かに旅行や活動量が多い時に生理がくると、荷物も増えるし、活動にも制限がかかりますよね。

排卵が起こっている女性の場合、黄体機能不全など何らかの原因がなければ、排卵後から生理がくるまでの日数は14日前後です。そのため、月経周期(生理初日から次の生理がくる前日までの日数)に幅がある場合は、生理後から排卵までに時間がかかっていると考えられます

黄体機能不全:排卵後、卵子を含んでいた卵胞が変化し黄体となり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。このプロゲステロンの分泌が不十分で、排卵後~次の月経までの期間が短くなったり、子宮内膜の状態が妊娠に適した状態に維持できないなどが生じます。

通常は、排卵に向けて卵巣の中では数十個の卵胞が育ち、十分に成熟して排卵するのはその内の1個です。他の卵胞は途中で成熟が止まり、やがて小さくなっていきます。

しかし、多嚢胞性卵巣症候群は、卵胞の成長が途中で止まり、たくさんの小さな卵胞が卵巣内にとどまってしまいます。定期的に排卵が起きないため、続発性無月経や希発月経などの月経周期に異常が起こります

続発性無月経:これまであった月経が妊娠や産後・閉経を除き3ヶ月以上こない場合

希発月経:月経周期が39日以上3ヶ月以内の場合

28日で生理がきたときは、卵胞の発育がスムーズに進んだと思われますが、50日ぐらいのときは、もしかしたら排卵は起こっておらず、破綻出血だったのかもしれません。

卵巣内で発育する卵胞からは、女性ホルモンのエストロゲンが分泌されます。このエストロゲンには子宮内膜を厚くする働きがあります。十分に発育した卵胞から排卵した後、卵胞は黄体に変化し、この黄体からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜を妊娠に向けて安定化させる働きがあります。そして、妊娠しなければ、この内膜が生理として排泄されます。

しかし、排卵が起こらず、エストロゲンが継続的に分泌されると、子宮内膜が厚くなりすぎ、維持できなくなり、剥がれて生理と同様の出血が起こります。これを破綻出血といいます。出血量に変わりなければ、排卵が起こった生理なのか、破綻出血なのかは区別が難しいと思います。

生理のタイミングを把握する方法とは

ピルの内服には抵抗がある中で、生理がくるタイミングを把握する方法の1つとしては、基礎体温の測定があります。

基礎体温は、通常の体温計(小数点第1位まで)よりも目盛りが細かい婦人体温計(小数点第2位まで)を使い、朝起きてお布団の中で横になったままの状態で(活動する前に)舌の下に挿入して計測した値です。基礎体温を毎日継続して計測し、変化を観ていきます

排卵が起こっている場合、排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによって、体温が上がり、生理から排卵までの時期が低温期、排卵後から次の生理がくるまでの時期が高温期と2相にわかれます。 体温が高くなる日が続けば、高温期は14日ほど持続するので、次の生理の予測につながりますし、ご自身の身体の中で排卵が起こっているという確認にもつながります。ただ、いつ排卵が起こるのか、は特定できません。

月経周期は様々な影響を受ける。ご自身にとって最適な体重と過ごし方を。

月経周期は体重の変動やストレスなど様々な影響を受けます。28日ごろ生理がきた時期と、50日ぐらいできた時期には、ご自身にとって、どのような変化があったでしょうか?体重やストレスの変化があった場合は、それらとの関係も振り返ってみてください。28日ぐらいで生理がきた時期の体重や過ごし方が、ご自身にとっては最適なのだと思います

その時々の体調の変化や、排卵を含めたご自身の身体の状態を知る、という目的で、基礎体温の測定はお勧めです。毎日計測して記録するのは、ちょっと面倒…と思われるかもしれませんが、メモリー付の婦人体温計など種類もありますので、どんなものがあるのか、調べてみてください。

産婦人科では、経腟超音波検査で卵巣や子宮の状態を確認し、排卵前なのか、排卵後なのかといった月経周期のどのあたりなのかを推測することができます。また、ピルを含むホルモン剤によって、生理を早めたり、ずらしたり、その時の状況に応じて、望ましい方法を選択できるよう相談することが可能です。

ピルを飲むことに心配があるという中で、このような提案をすることは申し訳ないのですが、長期的な服用ではなく、短期的な服用により生理のタイミングをコントロールできる場合もありますので、温泉旅行を思いっきり楽しむために、1つの選択肢として検討いただければと思います。

回答者:助産師

小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


専門家がこたえます!お悩み募集中です

「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。

毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。

記事をシェア
あなたのお悩みを募集中。

あわせて読みたい

トップ > 新着記事一覧 > 多嚢胞性卵巣症候群で生理不順…ピルを飲むべき?【お悩み相談室】