産後に生理が激変し、血の塊が出るように…イライラして家族に当たってしまいます【お悩み相談室】

産後、生理がつらくなり、鎮痛剤が手放せない、血の塊が頻繁に出る、PMSも悪化して周囲に当たってしまう…とお悩みの方からご相談が届きました。サプリや生活習慣の見直しでは改善せず、婦人科を受診するべきか悩んでいるそうです。
病院へ相談にいくタイミングの目安や周囲の方とのコミュニケーション法について助産師がアドバイスします。
どのタイミングで婦人科に行くべきなのかわかりません。子供を産む前はたまに生理痛があるくらいだったのが、子供を2人産んでから生理がひどくなりました。具体的には生理が来るたびに1〜2回は鎮痛剤を飲まないと耐えられなくなり、小さいもの(1センチほど)から大きいもの(7センチ)まで頻繁に血の塊が出るようになりました。また、PMSが酷くなり周りの人に当たってしまうことが増えてしまいました。私なりにサプリメントを飲んでみたり、ストレスがかからないように過ごしたりしてみましたが、特に効果はありませんでした。この状況で病院に行ったほうが良いのか、それともまだ様子見をした方が良いのか、またどのようなタイミングで婦人科に行くべきなのかも知りたいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:ななな、職種:主婦)
日常生活の中で支障をきたしているなら受診のタイミング
ご相談ありがとうございます。
月経やPMSのしんどさについては、具体的に「ここから」という病院受診の基準が設けられているわけではなく、ご自身にとって、日々の生活の中で支障をきたしているのであれば、それが病院受診のタイミングといえます。
ご自身でサプリメントやストレスがかからないように取り組まれたものの、効果が感じられないのであれば、早めの病院受診を考えていただければと思います。
過多月経や月経困難症、他の疾患が隠れているかも
鎮痛剤を飲まないと耐えられないくらいのひどい月経痛や、月経血中に血塊(レバー状の血の塊)が頻回にでることは、過多月経や月経困難症の可能性があります。
過多月経は
・1回の月経量が150ml以上ある
・月経が8日以上続く
・昼間でも夜用ナプキンが必要なほど出血量が多い
・月経血中に血塊が混じっている
・貧血症状がある
などの症状を伴います。
上記については、すでにご相談内容の内、「月経血中に血塊が混じる」が該当しています。
また、月経困難症は、
・下腹部痛や腰痛などの痛み
・疲労感や食欲不振などの身体症状や、精神症状
など月経に伴って起こる病的な症状を含みます。
過多月経と月経困難症のいずれも、原因となる病気がない場合(機能性)と何らかの病気が原因となって起こる場合(器質性)があります。
機能性の場合は、初経後1~2年ぐらいの時期が多いとされています。それに対して、器質性は、初経後5年以上経過して起こることが多いとされ、原因の病気としては、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などが挙げられます。
子宮内膜症は、骨盤や卵巣など、子宮以外の場所で子宮内膜のような組織が増殖する病気です。増殖した組織は、子宮内膜と同様に月経のタイミングで排泄されますが、子宮以外の場所で増殖した組織は出口がないためお腹の中で溜まり、炎症を起こし激しい痛みなどの症状を引き起こします。
子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮平滑筋組織の中にできる病気です。子宮内膜症と同様に、月経のタイミングで筋層内に出血が起こり、強い月経痛や月経量の増加、⽉経期間が長くなる、貧血などの症状があらわれます。
子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍で、がんではありません。子宮筋腫の大きさや数はさまざまで、できた場所によって、子宮の内側の粘膜下筋腫、子宮の筋肉の中の筋層内筋腫、子宮の外側の漿膜下筋腫の、3つに分類されますが、場所や大きさによって、症状や程度も変わってきます。
いずれの疾患も、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けるため、排卵がある限りは症状が進行する可能性があります。
治療は症状の程度や現在や今後の妊娠希望などによって異なりますが、鎮痛剤や貧血改善のための鉄剤などで症状の緩和を試みたり、それでも効果が不十分な場合は、内服や注射のホルモン剤や子宮内にホルモンを放出する器具を挿入する方法などの薬物療法や、手術などを検討していきます。
困っている症状が出ているときに受診するほうが伝えやすいかも
まずは、原因となる病気がないか、早めに産婦人科を受診され、内診や超音波検査で診てもらい、ご自身の状態にあった治療の提案を受けてみてください。受診のタイミングは、月経周期のどの時期でも大丈夫ですが、PMSもお持ちなので、症状が出ているときの方が、ご自身が困っている症状を伝えやすいかもしれません。
お二人のお子さんを頑張って育てておられると、自分一人ではコントロールできないことも多いと思います。それだけでも、ストレスが溜まりますよね。毎日頑張っておられることと思います。でも、ご自身が頑張っておられることをご自分で認めてあげる、承認してあげることもとても大切なことです。
「今日もよく頑張っているね」とご自分を抱きしめながら、褒めてあげてくださいね。
<参考文献・出典>
一般社団法人 日本女性心身医学会
▶過多月経とは:https://www.jspog.com/general/details_10.html
公益社団法人 日本産婦人科医会
▶月経困難症とは:https://www.jaog.or.jp/note/(1)月経困難症/
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶子宮内膜症とは:https://www.jsog.or.jp/citizen/5712/
▶子宮筋腫とは:https://www.jsog.or.jp/citizen/5711/
一般社団法人 日本内分泌学会
▶子宮腺筋症とは:https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=78
回答者:株式会社ファミワンに所属する【助産師】
小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。
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