生理前になると腹痛や下痢や嘔吐に苦しんでいます【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、生理前から生理後まで続く体調不良に悩まされ、日常生活に支障をきたしている方からのご相談です。生理痛だけでなく、腹痛や下痢、嘔吐、頭痛、倦怠感といった症状があり、受診の必要性についても気になっているとのこと。

同じような経験をされた方の体験談や症状を和らげるための対策について助産師がアドバイスします。

昔から、生理痛が酷い方でした。年齢を重ねるごとに、生理前の体調変化が年々重くなっています一度、診療した方がいいのでしょうか?生理前の症状としては、腹痛、下痢(ひどい時は嘔吐)、頭痛、倦怠感があります。生理前だけでなく、生理中や生理が終わってからも症状が続くことがあり、生活に支障をきたしており困っています。同じような経験をしている方はいらっしゃるんでしょうか?少しでも生活が楽になるよう、アドバイスをいただきたいです。

(30代、女性、ハンドルネーム:tkrg、職種:事務・オフィスワーク)


日々の生活に支障をきたすのであれば、病院を受診するタイミング

ご相談ありがとうございます。

生理前だけでなく、生理中や生理後も様々な症状が続くことがあり、生活に支障をきたしているとのこと、毎月生理がきているのであれば、ひと月の半分以上を症状を抱えながら過ごされていて、しんどい状況だと思います。

日本人は月経に関連する不快症状を欧米と比べ我慢する傾向がありますし、月経やそれに伴う症状は人と比べにくいこともありますので、自分だけではないのかと感じたり、病院で相談することを躊躇する場合もあるかと思います。

しかし、月経に関連する症状がどの程度であれば病院を受診すべき、という明確な基準はなく、それらの症状がご自身にとって、日々の生活に支障をきたすのであれば、病院を受診するタイミングといえます

日本人女性の70~80%が月経前に不調を自覚している

 教えていただいた状況から、月経前症候群(PMS)と月経困難症を併せもっていらっしゃる可能性があります

PMSは、月経前に現れるこころやからだの不調です。様々な症状が、月経前の3~10日間ほど続きますが、PMSの場合は月経がはじまると自然に軽快・焼失します

日本人女性の70~80%の方が月経前に何らかの不調を自覚されており、約5%の方は症状の重い月経前症候群で日常生活に支障をきたしていると報告されています(※)。

PMSは、はっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が影響していると考えられています。女性は月経周期において、月経後、卵巣の中で卵子を含む卵胞が成長し、卵胞ホルモン(エストロゲン)が分泌されます。排卵後は、卵胞が黄体に変化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌するようになります。これら2種類の女性ホルモンが変動しながら分泌されています。

 排卵後に分泌が増えるプロゲステロンは、子宮内膜の厚さを維持し、着床しやすい環境に整え、妊娠した場合は状態を安定させる働きがありますが、同時に、身体の代謝や排せつを弱め、体内に水分をため込みやすくするため、頭痛や乳房の張りや痛み、下痢や嘔気嘔吐、浮腫みや疲労感・疲れやすさや、食欲増進など様々な症状が出る場合があります

また、黄体期後半に、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下すると、脳内のホルモンや神経伝達物質のバランスも乱れ、イライラや抑うつ、情緒の不安定さや集中力の低下など、こころの症状がでる場合もあります

症状や程度は人それぞれ異なりますし、同じ人であっても、月経周期ごとに症状やその程度なども変わる場合があります

次に、月経困難症とは、月経期間中に月経にともない起こる病的な状態で、下腹部痛や腰痛などの月経痛の他に、頭痛や嘔気嘔吐、倦怠感や疲れやすさ、食欲不振や下痢、イライラや抑うつ症状なども含まれます

年々体調変化が重くなっている、ということから、子宮内膜症や子宮腺筋症など何らかの疾患が原因となる器質性の可能性が考えられますので、早めの産婦人科受診を検討いただければと思います

どのような治療をするかは、現在の状況や年齢、今後のライフプラン(今後お子さんが欲しいかどうか、欲しい場合は何年後くらいに欲しいと思っているかなど)によって異なりますが、子宮内膜症や子宮腺筋症の場合は、

・鎮痛剤や漢方薬での対処療法

・ホルモン剤の内服や注射

・ホルモンを持続的に放出する器具の子宮内への装着

・手術

などがあります。まずは、一度ご自身の抱える症状を産婦人科でご相談いただければと思います。

身体を温めることを意識する

症状が重い場合は、なかなかセルフケアでの症状改善は難しいですが、病院での検査や治療と並行して、可能な範囲で身体を冷やさない、身体を温めることを意識してみてください

月経痛や冷え・水分代謝低下による下痢や嘔気などの消化器症状は、子宮を含む骨盤周囲だけでなく、身体全体(特に腹部から下)を温めることが効果的です。

中でもお勧めは、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かることです。身体がじんわりと温まるだけでなく、副交感神経が優位になり、こころとからだの緊張を和らげてくれる効果があります。

温めるといわれると、熱いお湯やサウナを連想するかもしれませんが、急激な変化は逆効果です。

お好きな香りのアロマオイルを垂らしたり、ご自身がリラックスできる音楽をかけるのもお勧めです。

何か頑張らないと、と思わず、しんどい時はご自分の身体に耳を傾け、可能な範囲で負担を避けてあげてくださいね

病院受診によって、悩まれている症状が緩和され、少しでも生活が楽になりますように。


回答者:株式会社ファミワンに所属する【助産師】

小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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