PMS対策にピルを試したいけど、種類が多すぎてよくわからない【お悩み相談室】
 
                      毎月、生理前になるとイライラや気分の落ち込みで何も手につかなくなり、つらい日々を過ごしている30代女性からのご相談です。ピルの服用を前向きに考えつつも、種類や副作用についての不安があるようです。
PMSの改善に役立つピルの選び方や基礎知識について、薬剤師が解説します。
生理の1週間前くらいから、イライラがひどくなって周りに当たってしまうし、気分も落ち込みがちで何もやる気が出なくなります。仕事はつらくても出勤してますが、休みの日に被ると1日中ベッドの中にいることがほとんどです。
先日、職場の先輩が「ピル飲んでからはPMSのつらさとサヨナラしたわ」って話してくれて、初めてピルってPMSのためにも使えるんだと今更ながらに知りました。それまでは避妊薬のイメージしかなくて、自分に関係あると思ってなかったんですが、症状がつらすぎて最近は本気でピルを試してみようかと考えています。でも、調べて見るとピルって種類がいろいろあって、低用量ピルとか超低用量ピルとか、どれがいいのか正直よくわからなくて…。婦人科で相談すれば合うピルを処方してくれるのでしょうけど、自分でも最低限の知識をもっておきたいです。副作用のことも気になるし、長く続けるかもしれないものだから慎重になっています。PMSが楽になるなら前向きに試したい気持ちはあるので、ピルのイロハを教えてください。
(30代、女性、ハンドルネーム:のの妹子、職種:販売・サービス)
目次
最初に
生理前のイライラや気分の落ち込み、無気力感…。本当につらいですよね。
仕事にはなんとか行けても、休みの日は何もできずベッドで過ごしてしまう。
そんな状態が毎月のようにやってくると、「どうにかならないのかな」と思ってしまうのも無理はありません。
そんなとき、先輩の「ピルでPMSが楽になった」という話を聞いて、「ピルって避妊だけじゃないんだ」と初めて知ったという気持ち、すごくよくわかります。
わたしも最初にそう聞いたときは驚きました。
でも、いざ調べ始めてみると「低用量?超低用量?世代?相性?」と分からない言葉が次々出てきて、混乱してしまいますよね。
自分の体に関わることだからこそ、慎重になるのも当然です。
今回は、そんなあなたの不安が少しでも軽くなるよう、PMSに対するピルの基本をわかりやすくお伝えします。
PMSをなんとかしたいあなたへ、はじめてのピル講座
PMSを軽くしたい。その思いから「ピルを試してみようかな」と考え始めたあなたの気持ちは、とても前向きで大切な一歩です。
でも同時に、「どれを選んだらいいの?」「副作用って大丈夫なの?」「避妊効果もあるの?」と不安や疑問が次々に出てくるのも自然なことです。
だからこそ、以下のようなポイントを知っておけると、自分に合った選択がしやすくなると思います。
・ピルの飲み方の基本(→シートの種類)
・副作用はあるの?長く使って大丈夫?
・避妊効果って本当にあるの?
・種類による違いって何?(→相性と世代)
全部を一度に覚える必要はありません。
でも「ちょっと知ってる」だけでも、婦人科での相談がぐっとラクになります。
では、順番に見ていきましょう。
知っておきたいピルの種類について
ピルの「服用スタイル」
まず、ピルの服用スタイルには「21錠タイプ」と「28錠タイプ」があります。
21錠タイプはホルモンが入った錠剤を3週間飲んで、1週間休むスタイル。
28錠タイプはホルモン錠21錠+偽薬(ホルモンなし)7錠で、毎日飲む習慣がつけやすいのが特徴です。
どちらも、休薬期間中に生理が来ます。
ピルの「相性」
次に「相性」の違いです。
これは、1シート内でホルモンの量が変化するかどうかの違いです。
▼1相性:
ホルモン量が全て同じ。体調の波が少なく、初心者にもおすすめ。
▼2相性・3相性:
自然なホルモン変化に近い設計。不正出血が少ない反面、飲み間違いに注意が必要です。
ピルの「世代」
またピルは開発された年代によって「世代」でも分類されます。
▼第1世代(例:ルナベルULD):
月経困難症や子宮内膜症の治療に使われます。
生理痛の軽減に効果がある一方、不正出血がやや起こりやすいです。
▼第2世代(例:トリキュラー、ジェミーナ):
ホルモン量が抑えられ、副作用が少なめ。
安定した生理周期を保ちたい方に。
▼第3世代(例:マーベロン、ファボワール):
男性ホルモンを抑え、ニキビや肌荒れの改善が期待されますが、血栓症のリスクが少し上がるため注意が必要です。
▼第4世代(例:ヤーズ、ヤーズフレックス):
超低用量ピルで、ホルモン量が最も少なく、副作用が比較的少ないのが特徴です。
月経回数を減らしたい人にも向いています。
ピルの「副作用」
そして気になるのが副作用です。
よくある副作用としては、吐き気、頭痛、むくみ、不正出血などが挙げられますが、多くは薬の成分に体が慣れてくると数か月以内に落ち着いていきます。
一方で、血栓症という重い副作用がまれに起こることがあり、特に喫煙者・肥満・高年齢の方は注意が必要です。
初回処方時には医師がリスクを確認してくれます。
ピルの「避妊効果」
また、ピルは避妊効果も非常に高いことで知られています。
毎日正しく服用すれば、妊娠率は0.3%以下と、ほぼ確実な避妊法です。
ただし飲み忘れがあると効果は下がるため、アラームやピル管理アプリの活用もおすすめです。
最後に
ピルは「避妊のための薬」だけではありません。
PMS、生理痛、肌トラブル…毎月のつらさを和らげ、生活の質を高めてくれる選択肢のひとつです。
最初の一歩は「知ること」、そして「相談すること」。
あなたが自分らしく過ごせる日々に近づけるよう、ぜひ安心して婦人科に相談してみてくださいね。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶低用量経口避妊薬(OC)の使用に関するガイドライン:http://www.jsognh.jp/common/files/society/guide_line.pdf
岡山医学会雑誌
▶低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン:https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/3/119_3_315/_pdf
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤のガイドライン作成小委員会
▶低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案) :https://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
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