PMSでイライラする彼女…どう接すればいい?【お悩み相談室】

今回は「付き合い始めた彼女がPMS(月経前症候群)かもしれない」と悩む20代男性からのご相談です。
生理前になると彼女の感情が不安定になり、怒りや落ち込みが強く出てどう接していいか分からないとのこと。
PMSの基礎知識や、パートナーとして寄り添うためのヒントについて助産師がアドバイスします。
最近付き合い始めた彼女のことで相談です。
生理前になると、彼女の感情が不安定になって、ちょっとしたことで怒ったり、すごく落ち込んだりします。普段は優しい人なので、最初は「俺が何かしたのかな?」と戸惑っていたのですが、本人から「PMSかも」と聞きました。
そう言われても、正直どう接すればいいのか分からず、気を使いすぎて逆にぎこちなくなってしまっています。心配してるつもりでも、「うざい」って言われたこともあり、どう寄り添えばいいのか悩んでいます。
PMSってどういう状態なのか、またパートナーとしてできることがあれば教えてほしいです。
(20代、男性、ハンドルネーム:まさ、職種:営業)
最初に
まささん ご相談ありがとうございます。
パートナーがPMSのため月経前になると感情が不安定になり、どう接すれば良いのかわからず、悩まれているのですね。
しかし、嫌がることなくPMSについて理解し、「どう寄り添えばいいのか」とご自身にできることを考えようとされているまささんは、素晴らしいなと思いました。
今回は、PMSについて説明し、まささんがお相手に対して何ができるのかを考えるポイントをお伝えできれば幸いです。
PMS(月経前症候群)とは?感情の波が起きる理由
PMSは月経前症候群(premenstrual syndrome)の略で、月経前に現れるこころとからだの不調をさします。
月経前に3~10日間ほど続き、月経がくると自然に軽快・消失します。
実は日本女性の70~80%の方が何らかの月経に伴う不調を感じており、その内5%の方は日常生活に困難を感じるほど重いPMSだと報告されています。
PMSのはっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンの変動が影響しているといわれています。
PMSのこころの症状としては、
情緒の不安定さ、抑うつ、不安、イライラする、不眠・眠気などの睡眠障害、集中力の低下などがあり、
からだの症状としては、
むくみ、お腹や乳房の張り、倦怠感、腹痛・腰痛・頭痛、めまい、偏食・過食などがありますが、
実際にどのような症状が出るのか、そしてその症状の程度は人によって異なります。
また、日常生活が困難なほどこころの症状が重い場合は、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)と診断されることもあります。
聞く・寄り添う・一緒に過ごす、3つの関わり方
PMSとうまく付き合っていくには、
規則正しい生活とバランスのとれた食生活の他、ご自分の身体のリズム(月経周期)を把握しながら、気分転換の方法や楽しめる趣味を見つけたり、ストレッチやセルフマッサージ、ぬるめのお湯での入浴などリラックスできる時間を取るようにして、しんどい時ほど自分自身を労わってあげると良いと思います。
香りに興味がある方は、ハーブティーやエッセンシャルオイルを使った芳香浴やマッサージも手軽でお勧めです。
まささんのお相手の方が、実際にどのようなことをすれば、楽になるのか、ホッと一息つけるのかがわからないため、特定のことをご提案することはできませんが、
何が好きなのか、逆にどんなことは避けたいのかを聞いてあげたり、
身体がしんどければ一緒にゆったりと過ごしたり、
ストレッチやマッサージをしてみたり、
お相手の方が「外出しようかな」と思われるならリクエストを聞いてあげたり、
ご本人にとって「無理をしない」ことをサポートされてはいかがでしょうか?
症状が日常生活の中で支障をきたす場合は、
産婦人科を受診する必要はありますが、ホルモン剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、漢方薬、痛みやむくみなどの症状に対応したお薬をつかった治療を相談してみることも可能です。
お付き合いを始めたばかりで、どんなことが良いのか最初は相手を知るために色々と訊くことも多いと思います。
しかし、
「生理前がしんどそうだから、何か自分にできることをしたいと思っているんだけど、何かできることはない?」
とまささんの正直な思いを伝えてみてはいかがでしょうか?
とてもしんどそうであれば、
「産婦人科で治療できることもあるみたいだけど、一緒に行ってみる?」
と提案されるのも良いと思います。
最後に
PMSの症状は、自分でコントロールできない場合も多く、イライラして人に当たってしまったことを後悔し自分を責めたり、情けなく思う人も少なくありません。
しかし、周りの人がPMSの症状がどのようなものかを理解し、見守って下されば、ご本人にとって気持ちが和らぐのではないかと思います。
お相手の方がPMSでしんどい時のまささんとの心地よい距離感やサポートを一緒に話し合いながら考えていけると良いですね。
まささんのお相手の方を思う優しい気持ちが伝わりますように。
<参考文献・出典>
例)公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶月経前症候群(PMS):https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
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