車で6時間の帰省と観光、妊娠初期でも大丈夫?【お悩み相談室】

妊娠6週目で心拍も確認できた中、つわりが軽く体調は安定しているものの、帰省と観光を含む長距離移動が赤ちゃんに負担にならないか不安というご相談です。
妊娠初期の体調の変化や注意点をふまえ、安心して過ごすための移動や観光の工夫について、助産師がお答えします。
路を使って片道6時間ほどかかります。新幹線も検討しましたが、自宅からの移動を含めると4時間程度かかります。2泊3日なので観光も少ししたく、車での移動を希望しています。車中泊も可能な車なので、夜に出て後部座席で休めば体も楽かなと思っています。つわりはちょっと眠いな、お腹空いたなと思うことが増えてきてる感じで、吐き気や気持ち悪さはなくて安定していますが、長時間の車移動や観光での散歩(1〜2時間程度)による影響がないか心配です。妊娠初期にこのような行動は問題ないのでしょうか?アドバイスをいただけたら嬉しいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:メリーさんのひつじ、職種:販売・サービス)
最初に
妊娠6週目とのこと、そして心拍が確認できたとのご報告、まずは本当におめでとうございます。
心拍が動いているのを見たとき、喜びや実感がわいてきたのではないでしょうか。
そんな大切な時期に、ご夫婦で帰省を予定されていて、移動手段や体調への影響を気にされているとのことですね。
今はつわりも安定していて、大きな不調はないとのことですが、「本当に今のタイミングで行っても大丈夫かな」「赤ちゃんに負担にならないかな」と不安がよぎるのも無理のないことです。
移動手段としては、長距離ドライブを第一にお考えで、後部座席で体を休めながらの移動や、少しの観光も楽しみたいというお気持ちもあるのですね。
赤ちゃんを守りながら、パートナーとの時間も大切にしたいという気遣いや優しさが、文面から伝わってきました。
妊娠初期の過ごし方で大切なのは“無理しない”こと
妊娠初期は体調が変わりやすい時期ですので、「無理をしすぎないこと」「リスクをなるべく避けながら安心して過ごせること」を基本に考えていけるとよいですね。
そのうえで、体を休めながら移動できたり、必要に応じて途中で予定を調整できるような柔軟性のある計画が立てられると、心にも体にもやさしい時間になると思います。
たとえば、「どんな時に休憩を入れると安心か」「体調が変わった時に、すぐ宿泊や帰宅に切り替えられるか」といった視点でプランを見直してみるのも一つです。
そして、今のように比較的落ち着いている体調を、移動中も維持できるように「なるべく座っていられる環境」や「気持ち悪くならない工夫」ができると、観光なども無理なく楽しめるかもしれませんね。
大丈夫そうだからといって無理をすると、体調が簡単に悪くなってしまうのもこの時期ですので、無理は禁物です。
妊婦さんが注意したい旅先でのリスクと備え
「妊娠初期に避けた方が良い環境」や「移動中や散歩で気をつけるべきサイン」といったことがわかると、安心して判断できるかもしれません。
それぞれのリスクを知ったうえで、ご自身にとって納得のいく選択ができるよう、ここからもう少し具体的にお伝えしていきますね。
妊娠初期は、赤ちゃんの大事な器官がつくられる時期で、身体的には目立った変化が目には見えにくい時期でもありますが、ホルモンバランスの変化や、体の中で起こっていることはとても繊細です。
だからといって、今回のような車での長距離移動や観光が「絶対にダメ」というわけではありません。
いくつかの点を押さえたうえで、体調と相談しながら進めていく必要があります。
まず、長時間同じ姿勢でいることは、妊娠中の血流に影響を及ぼす可能性があります。特に下肢静脈の血流が滞ると、むくみや血栓のリスクが高くなることもあります(※)。
そのため、車中であってもこまめに休憩を入れて、少し体を伸ばしたり軽く歩く時間をつくってあげると良いと思います。
また、車中泊を予定されているとのことですが、妊娠初期は急な腹痛や出血が起きることもゼロではありません。
可能であれば、宿泊先があり、横になってしっかり眠れる環境の方が安心かもしれません。
後部座席で横になることで多少休息はとれますが、冷えや寝返りのしにくさもあるので、万が一を考えて「体をきちんと休める場所」を確保しておくと良いと思いますよ。
観光については、今の時点で体調が安定しているのであれば、散歩程度であれば問題ない方も多いです。
ただし、気温が高い季節や、坂道の多い場所、歩き詰めになるようなコースは避け、こまめに水分をとりながら、いつでも座れる場所があるような場所を選んでみてくださいね。
また、万が一体調に変化があった場合にすぐ相談できるよう、旅行先近くの産婦人科をあらかじめ調べておくと安心です。
保険証や母子健康手帳(まだ手元にない場合も、受診歴がわかるもの)も携帯すると万が一の時に助かります。
最後に
無理せず、でも素敵な時間が旅の時間が過ごせるよう、心から応援しています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科ガイドライン:https://www.jsog.or.jp/medical/410/
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