つわり中「できないなら来ないで」と上司に言われてショック…妊娠初期のつらさが理解されず孤独です【お悩み相談室】
今回は、妊娠8週でつわりを感じながらも午前勤務に復帰したものの、上司から「できないなら来ないでほしい」と心無い言葉をかけられ、深いショックと孤独を感じている30代女性からのご相談です。
妊娠中の働き方の工夫として、主観的な訴えではなく医師の診断として配慮を義務付ける「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」の活用法や、上司ではなく人事や産業医を味方に相談する選択肢についても、公認心理師がアドバイスします。
妊娠8週になる妊婦です。5週くらいからつわりが始まり、2週間弱仕事を休みました。
迷惑をかけてはいけないと思い、出来ることをしたい甘えていてはいけないという気持ちで、つわりが残る中、午前中のみ仕事に復帰させてもらいました。
座り仕事を与えてもらいなんとかこなせていたのですが、そればかりではということで立ち仕事もするようになりました。
しかしまだしんどいせいか以前のように瞬発的に判断できなかったり行動できなかったりしました。
仕事をしていると少し頑張れる自分もいて、この調子で出来ることをやりたいという気持ちでした。
しかし上司から、「前より動けなくなった?妊娠してなんか変わっちゃった?仕事に来る以上はしっかりやって欲しい。気が紛れるから来るというのはおかしいと思う。出来ないならこないでと思う」と言われました。
これまでの経験上、『出来ないなら居たら困る』という感覚は今まで無くて、『無理してでも出勤するのが誠意』だと思っていたので、とてもショックです。
やりたく無くてやってないのでは無く、この身体でどこまで動けるかの判断力がなくなったのを理解してもらいたかったです。もちろん上司の考え方もわかりますが、とても孤独です。
(30代、女性、ハンドルネーム:にゃんこ、職種:販売・サービス)
最初に
にゃんこさん、妊娠8週という、まだお腹は目立たないけれど体の中では様々な変化が起きている時期に、つわりを抱えながら仕事に戻られたのですね。
2週間弱休んだことへの申し訳なさ、「できることはしたい」「甘えてはいけない」という思いから、午前中だけでも復帰しようとされた。
その姿勢だけでも、本当に十分すぎるほど誠実です。
それなのに、上司から「できないならこないで」という趣旨の言葉を受けたら、ショックを受けて当然です。
妊娠初期の体は、見た目は通常営業でも、中身は大工事中です。
しかも工事現場なのに、本人にだけ工程表が渡されていない。
昨日できたことが今日できない、朝は動けたのに昼には急に電池が切れる。
そんなことが起こる時期です。
それなのに「前より動けなくなった?妊娠してなんか変わっちゃった?」なんて言われたら、「えーっと……妊娠って、わりと身体が変わるイベントなんですよね」、と心の中で小さくツッコミを入れたくなる場面です。
にゃんこさんは、やりたくなくて動けなかったのではなく、「今の自分の身体でどこまでできるのか」がまだ読めなかったのですよね。
そこを理解してもらえなかった孤独感や傷付きは、とても大きかったと思います。
そのようなお気持ちの中で、「この身体でどこまで動けるのか、判断がつきにくくなっていたことを理解してほしかった」という自分の心に気付けたにゃんこさんは、素晴らしいです。
妊娠中の身体のトリセツを作っていく
にゃんこさんの、「無理して出勤することが誠意」という考えや責任感は、大切なものです。
ただ、妊娠前と妊娠中では、できる「無理」の範囲が変わってきます。
今回の出来事の時点では、まだにゃんこさん自身、身体のトリセツを作成中だっただけなのですよね。
どれくらいの作業ならできるのか、どのような状態になったら休憩を入れた方が良いのかなどは、少しずつ分かってくると思います。
そして、妊娠期間が進むにつれ、どんどんトリセツを更新する必要があります。
妊娠中は「安全に働ける工夫」を探して
妊娠中の働き方でオススメなのは、「今の身体で安全に働ける工夫を探すこと」です。
上司の言葉はきつかったと思いますが、職場側も「どこまで任せていいのか」が見えず、困っていた可能性があります。
医師の意見とご自身の希望を整理して、具体的に伝えられると、にゃんこさんにとっても安心かと思います。
たとえば、
-「立ち仕事はまだ難しい」
-「午前中のみなら可能」
-「急な判断が必要な作業は一時的に外してほしい」など、
できる範囲を細かく言葉にしていけると良いでしょう。
「母健連絡カード」を味方につける
妊娠中に医師などから勤務の軽減、休憩、作業制限などの指導を受けた場合、事業主は必要な措置を講じる義務があります(※1)。
また、その内容を職場に伝えるために「母性健康管理指導事項連絡カード」、いわゆる母健連絡カードを使うことができます(※2)。
これは、にゃんこさんが「私はしんどいです」という主観だけで説明するのではなく、医師が判断する妥当な配慮を職場に伝えてもらうためのカードです。
次の健診や受診時に、「つわりがあり、立ち仕事や瞬発的な判断がつらい」「職場でどこまで配慮をお願いしてよいかわからない」と相談してみてください。
必要であれば、午前勤務、座り仕事中心、休憩回数の増加、作業内容の制限などを書いてもらえる場合があります。
そして、もし上司に直接話すのがつらければ、人事、産業医、別の管理職など、間に入れる人を探してもかまいません。
妊娠初期のにゃんこさんに必要なのは、根性論ではなく、業務設計です。
昭和のスポ根でつわりは治りません。
残念ながら、気合いでホルモンは黙らないのです。
最後に
にゃんこさんが「働きたい」と思っていることと、「今はできないことがある」ことは、両立します。
どうか、ご自分の身体も、お仕事を大切に思う気持ちも、守ってくださいね。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku05/01.htm※1
▶母性健康管理指導事項連絡カードの活用について:https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/josei/hourei/20000401-25-1.htm※2
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