不妊治療中の飲酒制限との葛藤。飲んでもいい?【お悩み相談室】

今回は、大好きなお酒を不妊治療のために1年間我慢している30代の女性からご相談をいただきました。気晴らしやストレス発散でお酒を飲みたくなってしまうそうです。
不妊治療とお酒の関係について看護師がお答えします。
不妊治療を始めて1年が経ちました。夫婦ともに大のお酒好きなのですが、私は妊活のためこの1年間禁酒しています。夫も頑張って禁酒してくれていますが、会社や友人との集まりでは断ることができず、飲むこともあります。1年間不妊治療を頑張っていて、子どもがほしいという気持ちはどんどん大きくなっています。不妊治療をすればすぐに妊娠して、マタニティライフや育児でお酒のことを考えることもなくなりそうだと思っていました。ただ、まだ授かることができていないし、少し気晴らしというかストレス発散、私頑張っているというご褒美でお酒を飲みたくなってしまうことがあります。ただ一滴でも飲むことによって、妊娠から遠ざかってしまうことになるのも嫌だなと、葛藤する日々です。いつになるかわからない授乳後までお酒を控えたほうが良いのでしょうか。
(30代、女性、ハンドルネーム:翠、職種:事務・オフィスワーク)
不妊治療中、お酒は本当にNG?
翠さん、ご相談ありがとうございます。1年間、大好きなお酒を我慢して不妊治療を頑張ってこられたのですね。その努力、本当に素晴らしいです。でも、「終わりが見えない中で、ずっと禁酒し続けなければならないの?」という気持ちになるのも、すごく自然なことですよね。
お酒はただの飲み物ではなく、気分をリフレッシュさせたり、ご褒美として楽しんだりする大切な時間でもあったと思います。それをずっと我慢していると、「少しだけでも飲みたい」と思うのも無理はありません。では、不妊治療中のお酒との付き合い方について、一緒に考えていきましょう。
「一滴でも飲むと妊娠が遠のく?」と心配されているかもしれませんが、実際には絶対に禁酒しなければならないわけではありません。 ただ、お酒はホルモンバランスや卵子の質に影響を与えることがあるため、量とタイミングを意識することが大切です。
例えば、
- 排卵期や移植周期は控える(ホルモンバランスを整えるため)がそれ以外の時は少量の飲酒はオッケーとする
- 妊娠の可能性がある時期は禁酒する
また、不妊治療が長引くことでストレスがたまりすぎると、かえってホルモンバランスに悪影響を与えてしまうこともあります。「絶対禁止」よりも「適度にコントロールする」という考え方を持つと、気持ちが楽になるかもしれません。
お酒と血糖値、妊娠の関係
お酒は血糖値にも影響を与え、血糖値の乱れがホルモンバランスや排卵に影響することがあります。
① 血糖値を上げやすいお酒
- 甘いカクテル、梅酒、チューハイは糖分が多く、急激に血糖値を上げることがあります。
- 血糖値が急上昇するとインスリンが過剰に分泌され、排卵障害の原因となることも。
② 血糖値を下げるお酒
- **糖質が少ない蒸留酒(焼酎、ウイスキーなど)**は血糖値を直接上げませんが、肝臓の働きを妨げ、低血糖を引き起こすことがあります。
- 低血糖になるとストレスホルモンが分泌され、ホルモンバランスが乱れる可能性も。
血糖値を安定させるために、
- 甘いお酒を避ける
- 空腹時に飲まない
- おつまみと一緒に楽しむ
といった工夫をすると、妊活に悪影響を与えにくくなります。
「ずっと禁酒」は必要?
「妊娠して授乳が終わるまで、ずっとお酒を我慢しなければならないの?」と考えると、気が遠くなってしまいますよね。でも、すべてを禁止する必要はありません。
妊娠前なら気分転換として少量ならお酒を飲むことをOKとする日を設けてもいいと思います。
無理をしすぎず、自分に合ったペースでお酒との付き合い方を見つけるのが大切です。
無理なく、自分に合ったバランスで
翠さん、1年間もの間、お酒を我慢しながら不妊治療を頑張ってきたこと、本当に素晴らしいことです。でも、その努力の中で「自分の気持ち」を犠牲にしすぎていませんか?
不妊治療は長い道のりになることもあります。その中で、「どうすれば心地よく続けられるか」 を大切にしてほしいのです。お酒との付き合い方も、「絶対禁止!」ではなく、「無理なく、自分に合ったバランスで」 が大切ですよ。
どうか、自分を責めすぎずに。頑張りすぎずに。翠さんの妊活が、少しでも心穏やかに進められるよう、心から応援しています。
回答者:看護師
不妊治療専門のアドバイザーとして、妊娠を希望する方をサポートしています。看護師としての経験と体外受精コーディネーターの資格を活かし、一人ひとりに寄り添ったアドバイスを提供。不妊治療の選択肢やライフスタイルの見直し、心と体のケアまで、総合的にサポートします。あなたの妊活が少しでも前向きなものになるよう、専門的な視点でお手伝いします。
専門家がこたえます!お悩み募集中です
「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。
毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。