帰省のたびに家族や親せきに言われる「子どもはまだ?」が憂鬱。兄弟家族も同時期に帰省するので、甥や姪に会うのも正直苦痛。どう対応したらよい?【公認心理師監修:お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、不妊治療2年目でお盆の帰省に強い憂鬱を感じている30代女性からのご相談です。「子どもはまだ?」という言葉に傷つき、周りと比べて自己嫌悪に陥ってしまうそうです。

周囲に治療を明かせない葛藤を抱えるなか、帰省時の親戚との上手な向き合い方と、自分を責めずに心をラクにする方法について公認心理師・臨床心理士がお答えします。

不妊治療を始めて2年。もうすぐお盆の帰省がやってきますが、正直なところ、今から憂鬱で仕方がありません。
実家に帰るたび、親戚や年配の方から悪気なく「子供はまだ?」「孫の顔が見たいな」と言われます。彼らにとっては挨拶代わりなのでしょうが、必死に妊活中の私にとっては、胸をえぐられるような思いです。上手く受け流せばいいのですが、いざ目の前で言われると笑顔が引きつってしまいます。

さらに辛いのは、兄弟家族も同じ時期に帰省すること。無邪気な甥や姪は可愛いですが、彼らと幸せそうに遊ぶ両親の姿を見ると、「私は親孝行ができていない」と自分を責めてしまいます。それに、お門違いだと分かっていても兄嫁たちの姿を見ると、激しい妬みの感情が湧いてしまいます。 そして、そんな冷たい感情を抱く自分に対しても、自己嫌悪に陥ってしまいます。
不妊治療中だと伝えていない私も悪いのかもしれませんが、可哀想に思われるのもみじめだし、「不摂生なんじゃない?」と食べ物に口を出されたりと変にアドバイスされるのが嫌です。

このような親戚の集まりと、どう向き合っていけば心が楽になれるのか、アドバイスをいただけないでしょうか。

(30代、女性、ハンドルネーム:たまごやき、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

たまごやきさん、お盆の帰省を前に、今から気持ちが重くなっているのですね。
不妊治療を2年続けてこられた中で、
「子どもはまだ?」「孫の顔が見たいな」
という言葉を受けるのは、ただの雑談では済まされません。
言った側はお茶請け感覚でも、受け取る側には胸にフォークが刺さります。笑顔で流そうとしても、引きつってしまうのは当然だと思います。

甥っ子さんや姪っ子さんを可愛いと思う気持ちと、ご両親が楽しそうに遊ぶ姿を見て「私は親孝行できていない」と苦しくなる気持ち。兄嫁さんたちへの妬みと、その妬みを持つ自分への自己嫌悪。
どれも矛盾しているようで、実はとても自然な心の動きです。

たまごやきさんが冷たい人だからではありません。それだけ子どもを望む気持ちがあり、これまで何度も期待と落胆をくり返してきたからこそ、心が正常に反応していて苦しいのだと思います

避難計画を作ってミッションコンプリート

親戚の集まりは「行かなければならないもの」ではなく、「自分の心身の状態に合わせて参加方法を選ぶもの」と考えてよいと思います。全参加、長時間滞在、笑顔で全員対応。これは不妊治療中の人にはなかなかの高難度のミッションです。

ミッションコンプリートのために、帰省前に“避難計画”を作ってみるのはいかがでしょうか

たとえば、

滞在時間を短くする
泊まらず日帰りにする
疲れたらコンビニや散歩に出る
パートナーさんに合図を決めておく


質問されたときの返しも、事前に用意しておくと少し楽です。

授かりものなので、ゆっくり考えています
その話はまた今度にしますね
体調のこともあるので、見守ってもらえるとありがたいです


これくらいで十分です。
同じ言葉をオウムのように繰り返しても大丈夫です。詳しく説明しなくて構いません。その様子を見て察せられないご親戚からは、物理的に距離を取って逃げましょう

今は心を守ることを優先して

不妊治療中は、妊娠・出産・子どもに関する話題に触れるだけで、強いストレスや孤立感が生じやすいものです。
これは心が狭いのではなく、喪失感や不確実さが続く中で起きる心理反応です。
特に親戚の集まりは、世代差、無遠慮な質問、子どもの存在、親への申し訳なさが全部盛りになりやすく、心の胃もたれが起きます。

不妊治療中だと伝えるかどうかは、たまごやきさんが決めてよいことです。
伝えないことは悪いことではありません。
変なアドバイスをされるのが嫌だ、可哀想に見られたくない、という感覚も大切な自己防衛です。
もし伝えるなら、全員ではなく、信頼できる人ひとりに「今は子どもの話題が少しつらい」とだけ共有する方法もあります

そして、妬みが湧いたときは「私は嫌な人間だ」ではなく、「今、私の願いが刺激されているんだ」と言い換えてみてください
妬みは悪者ではなく、自分が本当にほしいものを教えてくれる感情です。
取り扱い注意のセンサーみたいなものですね。

最後に

今年のお盆は、親戚に完璧に対応することより、たまごやきさんの心を守ることを優先していいと思います。
親孝行は、孫を見せることだけではありません。今まで何度も踏ん張って生きてきたこと自体、もう十分に尊いことですよ。

この記事の回答者

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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