生理のたびに自己嫌悪、仕事との両立に悩んでいます【お悩み相談室】
今回は、激しい生理痛とPMSに悩まされ、仕事に集中できないことで自己嫌悪に陥ってしまう、とお悩みの20代の女性からご相談をお寄せいただきました。男性上司とのコミュニケーションにもお困りのようです。
生理やPMSとの向き合い方、業務を円滑に進めるための上司や周囲とのコミュニケーション方法について臨床心理士がお答えします。
毎月の生理が始まると、ひどい生理痛に悩まされ、仕事に集中するのが難しいです。
痛みが強い日は休みたいと思うのですが、生理痛を理由に男性の上司に伝えるのがどうしても言いにくく、なかなか言い出せません。
休むことができても、毎月生理がやってくるため、そのたびに休むのも申し訳なく、自己嫌悪に陥ることがあります。
その上、PMSの影響で気分が落ち込みやすくなっているせいか、上司からのちょっとした注意にも耐えきれず涙が出てしまい、周囲に迷惑をかけている自分が嫌になります。
市販薬で痛みを和らげようとしていますが、最近は効果が薄れているように感じますし、ずっと薬に頼るのもどうかと思っています。
毎月このような状態で仕事に支障をきたしてしまうことに、どう向き合えばいいのか悩んでいます。
(20代、女性、ハンドルネーム:さくらんぼ、職種:販売・サービス)
生理痛は”当たり前”ではありません。まずは婦人科に相談を
ご相談ありがとうございます。毎月、お仕事に集中できないほどの痛みや、気分の症状があるのですね。市販薬で何とか耐えながらがんばっておられるとのこと。きっと、お仕事だけではなく日常生活にも大きな影響が出ていることでしょう。こんな状況でも、「仕事に支障をきたしたくない」と考えているあなたは、きっと今のお仕事をとても大切に思っているのでしょうね。
生理痛やPMS症状は、あなたの気持ちや心の強さの問題ではなく、月経周期内に起きる女性ホルモンの変化が原因です。生理痛がひどいと、痛みに耐えるだけでも体力や集中力を奪われます。すると、仕事のパフォーマンスが下がり、ミスを指摘されたり自己嫌悪に陥る状況を作り出します。ただでさえPMS症状で気分が落ち込んでいるのに、更にネガティブな出来事が加わると、余計に落ち込んでいく悪循環にはまっていきます。
こうした悪循環から抜け出すために、まずお勧めしたいのは、婦人科への受診です。仕事や生活に支障があるほどの生理痛や気分の症状がある場合、ぜひ婦人科へご相談ください。「生理痛があるのは当たり前。だから仕方ないこと」ではありません。
というのも、実は近年、生理が起きることそのものが、子宮や卵巣にダメージを与えていることがわかってきました。排卵が起こると、炎症物質や痛みの原因になる物質が放出されます。そうしたダメージから子宮や卵巣を守るために、ピルを服用するという方法があります。生理痛の痛みの緩和だけでなく、PMS症状の改善も期待できます。頼るなら、市販薬より婦人科医とピルがお勧めです。
ただし、人によってはピルを飲めない方、種類によっては体質に合わない方もおられます。婦人科医と相談しながら、あなたに合ったピルを探してみてください。もちろん、ピル以外の対処法についても相談できますよ。
自分のニーズを整理して周囲への相談の目的を明確に
それでも、休みが必要なほどの体調不良になる日はあるかもしれません。異性の上司に「生理痛がひどいので休ませてください」とは言いにくいですよね。自分の生理周期を知られるのは恥ずかしいですし、休みを取ること自体、他の人に迷惑をかけるようで心苦しく感じてしまう。
また、PMS症状のせいで打たれ弱くなる時があるなんて、男性には理解されないのではないか。そんなふうに悩み、上司への相談を躊躇する方はとても多いです。
体調と仕事の両立について上司に相談する場合、相談の目的を明確にしてみましょう。
あなたは、上司に事情を伝えることで、どのような良い事が起きるのを期待しますか?
・毎月のように休みを取るし指摘されると泣くので、「仕事への意欲が低いメンヘラ気味の子」と思われているかもしれない。本当は働きたいのに、私の身体が言うことを聞いてくれないだけなのを、知っておいてほしい。理解してもらえているとわかれば、今よりちょっと安心して働ける。
・急に休むと他の人に自分の分の仕事をお願いしなければならない。他のスタッフは不満に感じているかもしれない。もしも、他のスタッフが上司に「さくらんぼさんって休みすぎじゃないですか?」と言ってきたとき、それとなく「時々体調を崩しやすいみたいだよ。いつも助けてもらっているあなたに、とても感謝していたよ」とフォローしてほしい。
このように、「こういうことが心配。だから、上司にこういう協力や理解をして欲しい。そうすれば私はこんな風に楽になれる」という自分のニーズを整理してみましょう。そうすることで、何に重点を置いて上司と話せば良いかが明確になります。
休みを取る時の伝え方が「体調が悪いので休ませてください」から「生理痛がひどいので休ませてください」に変わったところで、上司の受け取り方に大きな違いはありません。せっかく勇気を出して相談するなら、今後のあなたの働き方に良い影響をもたらす時間にしたいですよね。
私は、よく企業の管理職向けに生理やPMSのセミナーを行います。参加者のご意見を聞いてみると、部下に「健康課題で困っていることがあるなら相談してほしい」と思っている方がとても多いように感じます。あなたの上司も、そのように思ってくれる方だと良いですね。
管理職は、生理と仕事の相談を受けることに慣れていません。「どうやって話を聴いたら良いのだろう?」「あまり詳しく状況をきくと本人が嫌な気持ちになるかも?」というご相談を多くいただきます。ですから、もしかしたらあなたに相談されたら戸惑うかもしれません。
だからこそ、相談する側であるあなたが自分のニーズを整理しておきましょう。
生理痛やPMSでパフォーマンスが落ちるのは、あなたのせいではありません。その時期は自分の体を労わりながら過ごしてください。その代わり、生理後の元気な時期には仕事も趣味もめいっぱい楽しんでくださいね!
回答者:臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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