不妊治療にお灸は有効?試そうか迷っている【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、不妊治療を始めて3年目でも着床がうまくいかず、お灸の効果に迷いを抱く30代女性からのご相談です。
可能性があるなら試したい気持ちと、費用面での不安で悩まれているようです。

気持ちの整理のヒントと、医学的視点からの鍼灸について、薬剤師がお伝えします。

不妊治療を始めて3年目になりますが、着床すら上手くいきません
先日ネットで、不妊治療中にお灸をして上手くいったという方を何人か見つけました。
主治医の先生にお灸について伺ったところ、「おすすめも否定もしない」と言われて、モヤモヤしています。

鍼灸は不妊治療のサポートとして効果があるのでしょうか?
少しでも可能性があるなら試したいという気持ちと、これ以上お金をかけるのは勿体ないという両方の気持ちがあります。なんだか最近自分の気持ちが分からなくなってきました。

(30代、女性、ハンドルネーム:優柔不断、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

三年間という長い時間を、不妊治療と向き合い続けてこられたんですね。
結果がなかなか出ず着床すら叶わない日々が続く中で、少しでも前に進める方法を探したくなるのは、とても自然なことだと思います。

お灸でうまくいったという話を見かければ
私にもできることがあるのかもしれない
と思いたくなる気持ちが湧くのもごく普通の反応です。

その一方でここまでの治療に多くの時間や費用、気力を使ってこられたからこそ、
これ以上何かを増やしても意味があるんだろうか」という不安が出てくるのも当然です。

主治医から推奨も否定もされず、判断を委ねられたような返答だと、心の中にモヤモヤが残ることもありますよね。


期待や焦り、迷い、疲れが重なっていくと、自分の中で何が正しいのか見えにくくなることもありますよね。
それだけあなたが真剣に向き合い、たくさんの思いを抱えながら努力してきたということでもあります。

そのひとつひとつの気持ちはとても大切で、決して軽いものではありません
今感じている揺れは、これまで積み重ねてきた時間と気持ちを思えば、とても自然な反応だと思います。

迷いを整理する手がかり

迷いを整理する手がかりとして、

自分がどんな状態なら治療を続けていけるのか

を知ることは、とても役に立ちます。

たとえばお灸を試したいと思った背景に、
体を整えたい」「治療のストレスを和らげたい
という前向きな思いがあるのか。


それとも
何か行動していないと不安
周りがやっているのに自分は何もしていない気がする
という焦りが強いのか。
どちらが今の自分に近いのかがわかるだけで選択しやすさはずいぶん変わってきます


さらに実際にお灸を取り入れる場合には、
どれくらいの頻度で通うのか
費用はどの程度かかるのか」という現実的な情報も大切です。

鍼灸は継続して受けることで変化を感じやすい分野なので、負担が重くならないかを知っておくと後悔しにくい選び方ができますよ。

あなたが安心して治療と向き合える環境をつくるために、少しずつ情報や気持ちを整理していくことが、今の迷いを軽くする助けになると思います

医学的な側面から見る「鍼灸」

専門的な立場からお話しすると、鍼灸が「妊娠率を直接高める」と断言できるだけの医学的根拠は、まだ十分ではありません
ただ最近では有望なデータも報告されていて、その一つが2024年3月に発表された大規模な系統的レビュー・メタアナリシスです。
誤解が生まれないように、内容を丁寧に紹介しますね。

この研究は、25の試験・計4757名を対象に、体外受精(IVF-ET)を受ける女性への鍼灸治療の効果を分析したものです。

臨床的妊娠率は、鍼灸あり43.6%、鍼灸なし33.2%
生児出生率は、鍼灸あり38.0%、鍼灸なし28.7%

と報告され、いずれも統計的に有意に高い結果でした。

また、手動鍼・電気鍼・経皮的電気刺激など複数の方法で肯定的な効果が示され、施術時期や回数に関わらず改善がみられたとされています

ただし、この研究は「鍼灸全体としての効果」を評価しており、使用したツボの具体的な情報など、臨床で再現するための細かい条件は明記されていません
また、研究の質のばらつきや対象者の違いから、医学的に確定的な結論を出すにはまだ慎重な姿勢が必要だと考えられています

つまり現時点での解釈としては、「妊娠率を直接上げる治療というよりも、
血流改善やリラックス効果などを通じて身体を整えるサポートになり得る
という位置づけが現実的だと思います。

また鍼灸は継続することで変化を感じる方が多い分、費用は積み重なりやすくなります
金銭的な負担が心の重荷になるのであれば、無理に取り入れる必要はありません。

鍼灸をしないことで妊娠率が下がるという事実もないのでご安心くださいね。

最後に

もし迷いが残るようであれば、信頼できる専門家や、気持ちを整理できる相手に相談してみるのも良いと思います。
一人で抱え込みすぎず、納得できる選択ができる環境を整えてみてくださいね。



<参考文献・出典>
NCBI(米国国立生物工学情報センター)
▶Effects of acupuncture on pregnancy outcomes in women undergoing in vitro fertilization: an updated systematic review and meta-analysis:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37436463/


全日本鍼灸学会雑誌
▶妊婦に対する鍼灸治療の現状:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam/68/4/68_238/_pdf/-char/ja

<本記事の回答者>

北里大学薬学部卒業後、総合病院産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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